屋根の類焼防止性能・屋根不燃の適用事例・考え方の整理

<屋根の類焼防止性能・屋根不燃の適用事例・考え方の整理>

法第22条と第63条で屋根に求められる性能は,簡単に言えば「不燃材で葺く」ということなのですが,第22条から読み進んで「不燃材で葺く」と規定している条文にたどりつくだけで複雑であるということは〈屋根の類焼防止性能・屋根不燃〉で説明した通りです。また,屋根に求められる性能は単純に「不燃材で葺く」と言うのみではなく4種類に分かれていることも〈屋根の類焼防止性能・屋根不燃〉で説明した通りです。

これほど複雑な規定ですから,陶器瓦,大波スレート,ポリカーボネード板を事例としてどのように法を適合されているかを説明します。

<陶器瓦で葺く>

「陶器瓦で葺くことが法第22条を適合している」ということをどのように読むのか。

法第22条の屋根の条件は,簡単に言えば「屋根を不燃材で葺く」ということなのですが,そうであることを読み解くのはかなり複雑なことで,その読み解き方は〈屋根の類焼防止性能・屋根不燃〉で説明した通りですから,そこを読んでください。

あとは,陶器瓦が不燃材であるかどうかです。不燃材の定義は,法第2条第9号で条文指定の構造方法はH12告示第1400号で規定されています。その中に「第三号 瓦」がありますから,瓦は不燃材です。したがって,瓦で葺けば第22条を満足することができます。

※ 法令上は単に「瓦」となっていて,これが陶器瓦を指すのかどうかは明確でないとの指摘もあろうと思います。今だから種々のものがありますが,建築基準法ができた頃は「瓦」と言えば「陶器瓦」しかなかったわけで,その考え方が踏襲されています。プラスチックで瓦を作って,「瓦=不燃材と規定しているのだからプラスチック瓦は不燃材だ」と主張する人が出てきたりはしないと思います。

<大波スレートで葺く>

かつて鉄骨造の工場の屋根は大波スレートが一般的でした。繊維をセメントで固めて波状にした板材です。屋根が大波スレートで壁が小波スレートという組み合わせでした。

「大波スレート」は一般名称なのだと思います。大波スレートのJIS規格上の正式名称は「繊維強化セメント板」で,適用されるJIS規格はJISA5430です。この中の「スレート・波板・大波」が一般的に「大波スレート」と呼ばれているものです。

「大波スレート」は「繊維強化セメント板」の一種で,繊維強化セメント板はH12告示第1400号で不燃材料であると規定されています。したがって,法第22条を満足したことになります。

少し補足すると,使おうとする大波スレートが,JISA5430に適合していることを証明しなければ上記は成り立ちません。例えば「東洋スレート㈱」のカタログにJISA5430であることが記載されています。

実は,大波スレートが不燃材であることは,個別認定でも示すことができます。恐らく国内で流通している大波スレートのすべては,NM-8576で不燃材としての個別認定を取っています。

<ポリカーボネート板で葺く>

光を通す樹脂材料で屋根を葺きたい場合の代表として,ポリカーボネート板で説明します。もしも,屋根ふき材として使用可能な難燃材料の指定を受けた樹脂材料があれば,〈屋根の類焼防止性能・屋根不燃〉で説明したように,不燃性物品の保管倉庫などの用途制限と屋根以外の主要構造部が準不燃材てあることの制限のもとに難燃材で葺くことが認められます。でも,私が知る限り(このページの公開時点)でそういうものは見当たりません。ポリカーボネート板などは,屋根構造としての個別認定を受けているものが使用可能となっています。

例えば,「タキロン㈱」のポリカーボネート板は個別認定DW-9054を取得していて「建築基準法によるポリカーボネート板の使用範囲」において使用ができます。

DWがつく個別認定は,法第63条から令第136条の2の2第一号に適合するもので不燃性物品の保管倉庫などの用途制限があります。



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外部仕上げ用の不燃材

不燃材は外部仕上げ用のNEと一般のNMの2種類があります。スレートの個別認定の認定番号がNMで外部仕上げ用になっていないので屋根に使ってもいいんだろうかとの,疑問もあります。

答えは使っていいです。

外部用NEは認定条件の中で「有毒ガスの発生制限」がないもので,NMは「有毒ガスの発生制限」あるからより厳しい条件をクリアーした材料です。したがって,NE材を内部に使うことはできませんが,NMは内部にも外部にも使うことができます。



このページの公開年月日:2015年9月20日

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