あと施工アンカー告示と設計・施工指針の解説

<あと施工アンカー告示と設計・施工指針の解説>

あと施工アンカーの許容応力度などを規定しているのがH13告示第1024号です。「平成18年2月28日の告示改正」であと施工アンカーの許容応力度と材料強度が追加されました。このあと施工アンカーの許容応力度等について解説します。「平成18年2月28日の告示改正」のあと施工アンカーについて規定は,
第一  十四  あと施工アンカーの接合部の引張り及びせん断の許容応力度は,その品質に応じてそれぞれ国土交通大臣が指定した数値とする。
第二  一三  あと施工アンカーの接合部の引張り及びせん断の材料強度は,その品質に応じてそれぞれ国土交通大臣が指定した数値とする。

です。したがって,告示だけ見ても許容応力度等はわかりません。大臣が指定した「指定書」を見なければいけません。

そして,与条件として注意しなければいけないのが,「あと施工アンカー」のあとにカッコ書きがついていて,
あと施工アンカー(既存の鉄筋コンクリート造等の部材とこれを補強するための部材との接合に用いるものをいう。)
とありますので,既存建物に耐震補強をするための躯体の取り付け部にしか用いることができません。告示では「国土交通大臣が指定した数値とする。」とされていますから,指定書を見なければいけません。指定書のサンプルが国土交通省から示されていまして,下記です。

指定書(例)

エヌパット㈱」のパーフィクス・ハーモニックアンカー(無機系)の「指定書

国土交通省から示されている「指定書(例)」と「エヌパット㈱」の「指定書」は同じ内容ですからどちらを見ても同じです。指定書で指定されているのは,

・短期の引張り許容耐力,せん断耐力
・引張り耐力,せん断耐力 ← 材料強度に相当するもの

です。長期許容応力度に相当するものは定められていません。つまり長期荷重に対してあと施工アンカーが抵抗できる力は0です。次に,指定されている算出式をもう少し詳しく見ていきましょう。

「短期許容応力度」=「材料強度」/1.5

となっています。

引張については,3つの破壊モードを想定してそのもっとも小さいもので決定するようになっています。3つの破壊モードとは,

①アンカー筋(打ち込む鉄筋か全ねじボルト)の破断
②打ち込んだアンカー筋の先端から45度に開いたコーン状(円錐型)のコンクリート面の破壊
③アンカー筋の付着破壊(接着剤のところでスポッと抜けてしまう)

①は,鉄筋の破断ですから簡単です。ですが,アンカー筋の降伏点強度が295ではなく294になっているところが不思議です。なぜなのかは私にはわかりません。また,鉄筋の破断に関しては,「短期許容応力度」=「材料強度」/1.5ではありません。鉄筋の材料強度は,324.5ですからそこまでとれるのだろうと思いますがそれも違っていて,「短期許容応力度」=「材料強度」です。なぜなのかを想像しますと,鉄筋は降伏してはならないということでしょう。コンクリートに埋め込まれた鉄筋が降伏して伸び始めると,コンクリートに均等に作用していた力が崩れるからだと思います。

②は,コーン破壊する時のコンクリート面積にコンクリートの引張強度を乗じたものです。面積計算がわかりにくいですが,有効長さを高さとし,直径を鉄筋径+有効長さとした円柱の側面の面積です。コンクリートの引張強度は基本は圧縮の10分の1であるはずですが,ルートを用いた複雑な式になっています。

③は,鉄筋のまわりの付着が切れてスポッと抜けてしまう時の強度です。面積は鉄筋周囲の面積ですから普通ですが,付着強度がσ=21の時に6.6となりますから,コンクリートの付着強度の3.15よりも大きくなっていることが不思議です。理由はわかりません。

この告示と指定書で算出される許容応力度などはこちら〈あと施工アンカーの許容応力度など〉です。

あと施工アンカーの耐力は,接着材の接着力に影響されるものと思いますが,告示の「指定書(例)」の計算式には接着剤強度が関係していません。このへんは不思議ですね。接着強度が影響するのは上記の「③アンカー筋の付着破壊」で,接着力が小さければ③の算出式が小さくなるような気がします。ですが,接着剤部分の強度の方がコンクリートよりも大きいので,接着剤が切れて抜けてしまうことはないのだと思います。必ず接着剤のまわりのコンクリートで切れるので接着剤強度に関係しないのだと思います。

接着力は有機質ケミカルアンカーの方が無機質よりも大きいですが,「パーフィクスレジンカプセル(有機系)」と「パーフィクスハーモニックアンカー(無機系)」も強度は同じです。

※ 無機系接着剤の場合,強度が29.4N/mm2ですから,コンクリート強度が30以上だった場合に接着剤で切れてしまう可能性はあるのだと思います。ただ,基準上はコンクリート強度の上限を設けていません。

あと施工アンカーの許容応力度等が発揮できるのは「あと施工アンカー・連続繊維補強設計・施工指針」を守っていることを条件としています。これは「指定書(例)」に明文化されています。

この設計施工指針では,コンクリートの圧縮強度σが,σ≧18N/mm2であることが条件となっています。耐震壁を増設する場合の施工方法も規定されていますから詳しくは指針を見てください。

設計施工指針で規定される主な条件を列記します。

設計施工指針で規定される主な条件
○ コンクリートの圧縮強度σが,σ≧18N/mm2であること
○ 接着系アンカーのアンカー筋はSD295AまたはSD345で径はD13以上D22以下
○ 有機系接着剤の硬化後の圧縮強さが98N/mm2以上,無機系接着剤は29.4N/mm2以上であることなどの条件あり
○ 接着系アンカーの有効埋め込み長さは12d以上




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このページの公開年月日:2015年10月9日

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