ボルト

<ボルト>

ボルトの品質について解説します。

ボルトは,JISB1051で規定されています。一般的な言い方としては「中ボルト」とか「普通ボルト」と言われていますが,JIS上の正式名称は「ボルト」です。「ボルト」という集合の中に「中ボルト」と「高力ボルト」が含まれるのだろう,と思われがちですが,「ボルト」と「高力ボルト(摩擦接合用高力六角ボルト)」は別のものです。建築基準法上でも,別のものとして扱われています。

ボルトの品質について解説します。JISでの適用範囲は,

ねじの呼び径の範囲:M1.6~M39(並目ねじ),M8×1~M39×3(細目ねじ)
ねじの呼び径とピッチの組み合わせ:JISB0205またはJISB0207
ねじの等級:JISB0209またはJISB0211
素材:炭素鋼製または合金鋼製

を条件としていて,強度区分としては,

強度区分:3.6,4.6,4.8,5.6,5.8,6.8,8.8,9.8,10.9,12.9

の10種類を規定しています。強度区分の小数点の前の数字は,呼び引張強さの1/100を,小数点の後ろの数字は,降伏応力比(下降伏点と引張強度の比)の10倍を示します。つまり,「強度区分:4.6」とは,ボルトの呼び引張強さが400N/mm2で,呼び下降伏点が240N/mm2ということです。それぞれの強度区分に応じて,鋼材に含まれる化学成分が規定されています。また,品質を保証するための試験として,最小引張強さ,破断伸び,硬さ,保証荷重応力などの試験が義務付けられています。

試験で用いる「最小引張強さ」は基本的に「呼び引張強さ」と同じです。一部で端数分ずれていますが,試験で用いる「最小引張強さ」が「呼び引張強さ」以上でなければ保証したことになりませんから,そのように設定されています。また,「保証荷重応力」は,「その応力を作用させても塑性変形しない」応力であり,下降伏点より少し小さい数字が指定されています。

ボルトの規格は,上記で解説しましたとおり,JISB1051で規定されていますが,「六角ボルト」というものは別のJISで規定されています。JISB1180です。「六角ボルト」とは,ねじ山の切られた軸部に六角形の頭がついたものです。先のJISB1051でも六角ボルトは扱っていますが,六角形の部分の寸法は規定していませんし,頭の形が六角形でないものも規定しています。したがって,通常見かける六角頭のボルトは,JISB1180によって作られています。

JISB1180では,ボルトの種類として,

呼び径六角ボルト

全ねじ六角ボルト

有効径六角ボルト

の3つを規定しています。「全ねじ六角ボルト」は,軸部の端から端までねじ山が切ってあるもので,「呼び径六角ボルト」と「有効径六角ボルト」は,ねじ山の切られていない軸部が残っているものです。「呼び径」と「有効径」の違いは,前者は,軸部の直径がねじ山の山部の直径(つまり「呼び径」)であるもので,後者は,ねじ部の断面欠損を考慮して軸部の直径を細くしたものです。

強度区分は,JISB1051で定義されるものを使っていますが,JISB1180で適用される強度区分は限定されています。

適用される強度区分
呼び径六角ボルト 3.6,4.6,4.8,5.6,8.8,9.8,10.9
全ねじ六角ボルト 3.6,4.6,4.8,5.6,8.8,9.8,10.9
有効径六角ボルト 5.8,6.8,8.8

ボルトの形状や寸法・寸法精度は次のとおりです。

ねじ山を切ったねじ部分の呼び径(M12など)とピッチの組み合わせは,JISB0205とJISB0207に規定されています。我々建築士が,ねじ山の高さやピッチがいくらになっているかを意識することはほとんどないでしょう。ただ,呼び径のM12の「12」がどこの寸法を指すのかは知っておく必要があります。高力ボルトのところでも解説しましたが,ねじ山を切る前の円筒状の部分の直径です。高力ボルトの場合は,必ずねじ山のない部分が残っていますから,先の表現でよかったのですが,ボルトの場合は,ねじ山のない部分がなかったりしますので,ねじ山の山から山までの直径と表現したほうが正確ですね。

呼び径の前に「M」をつけて「M12」などと表現することは,JISB0209に規定されています。

ボルトの断面積はいくらでしょうか。ねじを切ることによって有効な断面積が変わってきますので,ねじの呼び径のM12の半径6mmをπr2に当てはめてもボルトの断面積は算出できません。ボルトの有効断面積は,JISB1051に示されています。ボルトの場合,ねじのあるそのままで引張試験をしますので,最小引張強度400N/mm2を適合しているかどうかを算出するにあたって,あらかじめ有効断面積を規定しておく必要があるからJIS上で示されています。ボルトの呼び径に応じた有効断面積は,こちらです。
ボルトの呼び径と有効断面積

おまけですが,ナットの品質は,JISB1181に,平座金の品質は,JISB1256に規定されています。



ボルトなどの関連情報
ボルト
高力ボルト

└〈高力ボルトの許容応力
└〈高力ボルトの施工監理
└〈トルシア型高力ボルト
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└〈旧規格F11Tと遅れ破壊

アンカーボルト


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こぼれ話

「ボルト」と「ねじ」は,どう違うの?

JISB1051では,「ボルト」と「小ねじ」と「植込みボルト」を規定しています。つまり,その3つは別のものとして扱われています。植込みボルトは図が書いてあってそれによれば1本の棒の両端にねじ山が切ってあるものだということがわかります。しかし,JIS規格上では,「ボルト」と「小ねじ」の違いは説明されていません。

「ねじとは,軸部のねじ山が切ってある部分のみを指し,ボルトとは,六角頭のついたねじ全体を指すのだ」ということならばすっきりしますが,JIS規格の文面に「六角頭のねじ」という言葉がありますので,違うようです。

こぼれ話

「並目ねじ」と「細目ねじ」

ねじ山の隣の山との距離をピッチといいますが,ピッチの小さいものを「細目ねじ」です。細目ねじの寸法などはJISB0207で規定されていましたが今(2011.7)は消えています。でも,「細目ねじ」が消えたわけではなく,JISB0205に「並目」と「細目」が規定されています。

こぼれ話

「ボルトの有効断面積とは?」

ねじの切ってある谷底から谷底までの直径に相当する面積が有効断面積なのだろうと想像しますが違います。それよりもう少し大きいです。「高力ボルト協会の解説」がわかりやすいです。

こぼれ話
建築基準法上で,平座金は適合すべきJISにあげられているのに,ばね座金(JISB1251)はあげられていません。不思議です。



このページの公開年月日:2012年6月

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