既製コンクリート杭(PHC杭,PRC杭)の品質

<既製コンクリート杭(PHC杭,PRC杭)の品質>

既製コンクリート杭の杭体素材の分類としては,

  • RC杭(遠心力成形の鉄筋コンクリート杭)
  • PC杭(遠心力成形のプレストレストコンクリート杭)
  • PHC杭(遠心力成形の高強度プレストレストコンクリート杭)
  • PRC杭(遠心力成形の高強度プレストレスト鉄筋コンクリート杭)
  • SC杭(遠心力成形の外殻鋼管付きコンクリート杭)

の5つに分類するのが一般的です。しかし,現在,使われているのは,PHC杭,PRC杭,SC杭の3種類で,RC杭とPC杭はほとんど使われていません。

既製コンクリート杭の代表格は,「PHC杭」です。「PHC杭」という呼び方は広く一般的に使われていて建築用語として定着していますが,俗称です。改めて「PHC杭の正式名称は何ですか?」と聞かれると正確に答えるのはちょっと難しいです。

  • 日本建築学会の「建築基礎構造設計指針」では,「高強度プレストレストコンクリート杭」とされています。
  • JISA5373では,「遠心力締固めによって製造するくい類の種類のうち,PCくい,STくい及び節くいは,PHCと表示する」とされているけれども,PHC杭に相当するものの名称は定めていません。
  • 国の公共建築工事標準仕様書では,「既製コンクリート杭」とされているだけで,PHC杭に相当する杭のみを取り出して表現したものはありません。

というわけで,学会の設計指針で言う「高強度プレストレストコンクリート杭」が「PHC杭」の公式上の名称なのだと思います。


「PHC杭」の正式名称を言うだけで上記のとおりでして,さらに,「PHC杭と呼べる物の範囲は?(つまりPHC杭の定義)」となるともっと難しいです。

「JISA5373でPHCと表示していい杭のことをPHC杭である」と定義するならば,PHC杭の定義は次のようになります。

PHC杭の定義:JISA5373で規定するプレキャストプレストレストコンクリート製品のうち,附属書E「くい類」に適合する杭で,プレストレストコンクリート杭で遠心力締固めによって製造されたもの

となります。ちなみに「プレキャスト」は工場で型枠に生コンを流し込んでつくるという意味です。「プレストレスト」は鉄筋(正確にはPC鋼線)にあらかじめ引っ張り力をかけた状態で生コンクリートを流して,コンクリートが固まった後で型枠を外すことでコンクリートに圧縮力を作用させるものです。上記の定義によれば,「PCくい(太さが変わらない物)」の他に,「STくい(先端だけが太くなっている物)」「節くい(多数の節がついていて摩擦くいとして使う物)」もPHC杭の定義に含まれます。

ところで,PHC杭の定義が上記だとすると「PHCのHはどうなった?」と思いませんか。Hは「High Strength」ですから,高強度のものに限定しているはずなのに定義の中にコンクリート強度の条件が書いてありません。

実は,強度条件は「JISA5373に適合する杭」というところに含まれています。このJISではA種,B種及びC種に分けて,有効プレストレスとコンクリートの圧縮強度を下記のように規定しています。

有効プレストレス(N/mm2) コンクリート圧縮強度(N/mm2)
A種 4.0 80
B種 8.0 85
C種 10.0 85

※  建築分野では,AとCとでは品質の高いものをAにする場合が多いのですが,PHC杭のA種とC種とではC種の方が品質が上です。


JISA5373で示されるPHC杭の寸法範囲は次の通りです。
外径:300,350,400,450,500,600,700,800,900,1000,1100,1200mm
長さ:4mから15mで1m単位

PHC杭・PRC杭の建築基準法上の適用についてはこちら〈既製コンクリート杭(PHC杭・PRC杭)の法適用〉です。


現在使われている既製コンクリート杭でPHC杭でないものとしては,

PRC杭:プレストレスト鉄筋コンクリートくい(PRC節くいを含む)

SC杭:外殻鋼管付きコンクリート杭

があります。

PRC杭はJISA5373に適合する杭です。PHC杭との違いは,PRC杭にはプレストレスを与えるPC鋼線に平行してプレストレスを与えない鉄筋が入っていることです。

SC杭はJISA5372に適合する杭です。鋼管の内側に遠心力でコンクリートを固めたものです。



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