冷間成形角形鋼管

<冷間成形角形鋼管>

JIS以外の鋼材と言えば「冷間成形角形鋼管」です。

鋼板を四角形(ほとんどは正方形)に筒状にして柱材として使用するものです。JIS材でも,JISG3466の「一般構造用角形鋼管」いわゆる「STKR材」があって同様の形です。実は,「STKR材」も冷間成形角形鋼管の一種です。「冷間成形角形鋼管」と言えば,STKR材を含めて,次の3つを指します。

  1. STKR材  ← JISG3466によって規定
  2. BCR材  ← 法第37条第二号の大臣認定
  3. BCP材  ←   同  上

冷間成形角形鋼管のSTKR材,BCR材,BCP材の違いは次のとおりです。

  1. STKR材には溶接性に関する品質規定がないが,STKR材以外はある。
  2. STKR材以外は,断面寸法のマイナス側の許容差が厳しい。
  3. BCR材は,製造工程で角部も面部も冷間成形されるのですべての部分で内部歪を持つが,BCPは材,冷間成形されるのは角部だけであり角部のみ内部歪を持つ。

このように冷間成形角形鋼管は,材の中に初めから内部歪を抱えるため,鋼材としての性能が若干だけ落ちます。このため,構造設計において作用応力を割り増して断面検証します。

BCR材,BCP材は大臣認定ですから,これを使う場合には,確認申請書に認定書の写しの添付が求められます。

BCR材の37条第2号大臣認定の例(ナカジマ鋼管㈱)」←基準強度などを指定した指定書を含む。
BCP材の37条第2号大臣認定の例(ナカジマ鋼管㈱)」←基準強度などを指定した指定書を含む。

BCR材,BCP材の材質や特徴は次のとおりです。

BCR材とBCP材は,規格の名称として,

  1. BCR295
  2. BCP235
  3. BCP325

の3種類に分類されていますので,ここからは,この3つの規格ごとに説明します。

まず,3種類の共通事項として,炭素鋼としての化学組成は,SN材の制限に近いです。炭素当量や溶接割れ感受性組成を定めていますから,SNのB材に近いです。また,断面寸法のマイナス側の許容値を厳しくしていることもSN材と同じです。

許容応力度を算出する時に用いる「基準強度」は,
BCR295:295N/mm2
BCP235:235N/mm2
BCP325:325N/mm2
です。

BCR材,BCP材の存在する断面寸法は,各社によって違います。

ナカジマ鋼管㈱のBCR,BCPの断面寸法

この断面寸法は正方形の鋼管の一辺の長さと鋼板の厚さの組合せです。断面積や断面二次モーメントを知ろうと思ったら,JISG3466にある計算式に代入して算出することもできますが,算出値を直接に知りたい場合は,「鋼構造設計便覧」(JFEスチール㈱)でほとんどのものは見ることができます。

<STKR材,BCR材,BCP材の使い分け>

JISG3466で規定されるSTKR材は,一辺の最大が350mmですから,それより大きい部材を選びたい場合は,BCR材・BCP材になります。また,STKR材は溶接性について規定されていませんから,ベースプレートやダイヤフラムと溶接接合をしなければならない柱材には推奨できません。←使用が禁止されているわけではない。

次に,BCR材とBCP材は,一辺が600㎜以上であればBCP材しかありませんから,そうなります。550㎜以下の場合は,両方が存在しますから許容応力度の違いで設計者として判断することになるでしょう。

<冷間成形角形鋼管を柱に使う場合の構造設計上の注意>

冷間成形角形鋼管は,その製造工程で初期歪を持っていますから,明確な降伏点を有しません。このことから,構造設計において若干の配慮が必要です。
<昭和55年11月27日建設省告示第1791号>
<平成19年5月18日国土交通省告示第594号>
これらの告示に,梁降伏型であること,地震時の作用応力の割り増し,保有水平耐力設計の割り増しなどが規定されています。

また,「2008年版 冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル」(日本建築センター)にも規定があります。

<JIS以外の鋼材>

まず,JIS規格で規定される鋼材以外の鋼材を建築基準法上で使用できる根拠から解説します。

指定建築材料〉で解説しましたように,「建築物の特定の部分に,特定の材料を使う場合は,特定の品質でなければならない」(法第37条)と規定されていまして,鋼材はこの規定が適用されるので,①JIS規格に適合するもの,②大臣の認定を受けたもの,というどちらかの条件がかかります。したがって,JIS規格で規定される鋼材以外の鋼材を使用する場合には,②の「大臣の認定を受けたもの」であることが要求されます。

そして,以下で紹介するものは,法第37条第二号の認定を受けたものです。





BCR材・BCP材の解説

BCR材・BCP材のことなら「一般社団法人 日本鉄鋼連盟」の「BCR・BCP」がわかりやすいです。

BCR材・BCP材の製造者

BCR材とBCP材の製造者はこちら〉です。

BCR295の「295」

JIS材のSS400の「400」は引張強さが「400N/mm2以上」であることを示していますが,BCR295,BCP235,BCP325の数字は,降伏点が「295N/mm2以上」であることを示しています。それぞれの引張強度は,
BCR295:400N/mm2
BCP235:400N/mm2 ←SS400級
BCP325:490N/mm2 ←SS490級

※ BCR295は引張強度からすれば,SS400級だと思いますが,SS400より大きな許容応力度が出せます。
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└〈建築構造用炭素鋼管



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このページの公開年月日:2012年6月1日

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