木材品質などについての建築基準法上の規定

<木材品質などについての建築基準法上の規定>

建築基準法上で木材の品質についてどのように規定しているのかを解説します。

4号もの(2階建て,200㎡以下)で構造計算の必要ないものと,3号もので構造計算が必要なものとでは違います。構造計算が必要なものは条件が付加されますから,最初に構造計算が必要ないものから解説します。

<構造計算の不要な建物の木材の品質の規定>

建築基準法上で使用する材料の品質規定と言えば,法第37条の「指定建築材料」です。でも,木材は〈指定建築材料〉のページで解説したように,指定建築材料ではありません。したがって,木材の使用にあたって,「日本農林規格の品質に適合している」ことを求められません。

木材の品質を規定したものとしては,

政令第41条 構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質は、節、腐れ、繊維の傾斜、丸身等による耐力上の欠点がないものでなければならない。

と,定められています。これは,柱や梁に節があってはならないことを規定しているものではありませんし,逆にどの程度まで許容しているのかの具体の制限もありません。政令第44条,第45条(欠込みの禁止)にも規定されていますが,同様です。

建築基準法では,柱の小径の規定(政令第43条)や壁量(筋交い)の規定(政令第46条)などがありますが,そこに使用する木材が何でなければならないのかは規定されていません。建築基準法は,「自分の裏山から切り出した木材を使用する」ことも想定して作られているものですから,木材の品質の制限まではしていないのだと思われます。

<構造計算が必要な建物の場合の規定>

構造計算が必要な場合には,条件が付加されます。それは,許容応力度が設定された木材を使用しなければならないからです。そして,木材の品質に応じて許容応力度が違います。

建築基準法上で許容応力度の定めは次のとおりです。

① 政令第89条で木材の基準強度との関係で許容応力度を定めている。この木材の基準強度は,告示(H12告示第1452号)で規定。

② 政令第94条を根拠として定められた告示(H13告示第1024号)で規定

具体に上記で規定している木材の許容応力度は,次のものです。

① 日本農林規格に適合する構造用製材の目視等級区分によるもの② 日本農林規格に適合する構造用製材の機械等級区分によるもの

③ 枠組壁工法構造用製材の日本農林規格に適合するものするもののうち,寸法形式が一〇四,二〇三,二〇四又は四〇四のもの

④ 枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格に適合するもののうち,寸法形式が一〇四又は二〇四のもの

⑤ 日本農林規格に適合する機械による曲げ応力等級区分によるもの

⑥ 無等級材

⑦ 集成材の日本農林規格に適合する対象異等級構成集成材

⑧ 集成材の日本農林規格に適合する非対称異等級構成集成材

⑨ 集成材の日本農林規格に適合する同一等級構成集成材

⑩ 集成材の日本農林規格に適合する化粧ばり構造用集成材

⑪ 単板積層材の日本農林規格に適合するもの

上記を見ると,日本農林規格に適合する規格材でなければ構造計算ができないように見えるかもしれませんが,⑥に「無等級材」がありますから,規格材でなくても構造計算できます。
つまり,建築基準法上では,構造計算を必要とする場合であっても,木材の品質は規定されていません。規格材を使った方がより高い許容応力度を設定できるだけです。

上記までは,「基準法上は無規格材の使用を認めている」というものですが,壁量規定があって,これによって制限が付加されます。
建築基準法施行令第46条がいわゆる「壁量規定」で,第4項で「階数が2以上または床面積50㎡以上」について壁量規定が適用されます。この壁量規定の適用除外を規定しているのが同第2項で,

一 次に掲げる基準に適合するもの

イ 構造耐力上主要な部分である柱及び横架材(間柱,小ばりその他これらに類するものを除く。以下この号において同じ。)に使用する集成材その他の木材の品質が,当該柱及び横架材の強度及び耐久性に関し国土交通大臣の定める基準に適合していること。

ロ 構造耐力上主要な部分である柱の脚部が,一体の鉄筋コンクリート造の布基礎に緊結している土台に緊結し,又は鉄筋コンクリート造の基礎に緊結していること。

ハ イ及びロに掲げるもののほか,国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって,構造耐力上安全であることが確かめられた構造であること。

と,規定しています。

イで示している告示が,「構造耐力上主要な部分である柱及び横架材に使用する集成材その他の木材の品質の強度及び耐久性に関する基準を定める件」(昭和62年11月10日建設省告示第1898号)で,この告示は集成材の品質を規定したものだったのですが,平成16年の改正で製材についても規定されました。この改正により製材を使った構造で壁量規定を外すことができるようになったのですが,JAS規格の適用が条件となっています。
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こぼれ話

国土交通省のH12告示第1452号は,農林水産省のH3告示第143号を指定して書かれていますが,この農林水産省告示は平成19年に改正されています。国土交通省告示の改正漏れです。
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木質構造部材・接合部の変形と破壊

このページの公開年月日:2014年3月3日