地盤の液状化の必要調査内容

<地盤の液状化の必要調査内容>

地盤の液状化判定に必要な調査内容について解説します。

地盤調査の目的のひとつに液状化の判定があります。阪神淡路大震災以後は,地盤調査で地盤の支持力を推定するのみではなく,液状化の判定もいっしょに行うことが一般的になっています。

液状化の判定を行うかどうかの判断は,「建築基礎構造設計指針」(日本建築学会)の「4.5節 地盤の液状化」の「1.液状化判定(1)対象とすべき土層」に次のように書いてあります。

液状化の判定を行う必要がある飽和土層は,一般に地表面から20m程度以浅の沖積層で,考慮すべき土の種類は,細粒分含有率が35%以下の土とする。

この記述の次にはただし書きがあって,埋立地盤や人工造成地盤では調査対象をもっと広げるべき(粘土分(0.005mm以下の粒径を持つ土粒子)含有率が10%以下,または,塑性指数が15%以下は調査対象)ことが書いてあります。

液状化の判定を必要とするのは地下水位が高くて砂質土の場合です。設計指針では「細粒分含有率が35%以下」としています。細粒分とは粘土とシルトのことで粘土・シルトが少ないものは液状化の判定が必要だと言うことです。ボーリングをして20mまでの全層が粘土であれば,それだけで液状化の判定すら必要がないと言えますし,対象は「飽和土層」ですから,地下水位が20mよりも低い場合も液状化の判定は必要ありません。一方,砂質土の層が含まれている場合は,それが細粒分含有率35%以下かどうかを調べなければいけませんから,土をサンプリングして「物理試験」をする必要があります。適用する試験は,土の細粒分含有率試験(JISA1223)です。ただし,埋立地盤や人工造成地盤では,全層が粘土・シルトであっても粘土分の含有率を調べる必要がありますから,土の粒度試験(JISA1204)が必要ですし,塑性指数(液性限界と塑性限界の差)を調べるために,土の液性限界・塑性限界試験(JISA1205)が必要です。

液状化の判定が必要だとわかった場合は,20mまでの各層で,細粒分含有率が必要ですので,土の細粒分含有率試験(JISA1223)を行います。細粒分含有率は,土の粒度試験(JISA1204)でも可能です。土の粒度試験は,細粒分だけではなく粒度の分布まで調べますのでより詳細な試験結果が得られますが,調査費用も高いです。


液状化判定を必要とするかどうかの判断は,飽和土層であり細粒分含有率が35%以下の土ですが,埋立地盤と人工造成地盤ではただし書きで強化しています。ただし書きの読み方によっては,地下水位がなくても(20m以下でも)ただし書きにあてはまれば液状化判定を必要とするとも読めます。地下水位がなくても判定式をあてはめて液状化の有無を判定することはできますし,ただし書き中にも「液性限界に近い含水比をもったシルトが液状化した事例」と書いてありますから,地下水位がないことも想定しているんだとは思います。でも,このただし書きは,前段の主語が「飽和土層は」ですから,飽和土層でないもの,つまり,地下水位より上の土層については判定の必要はないものと考えます。人工造成地盤で地下水位より上でも「液状化が起こりうる」ことを否定はしませんが,文面を素直に解釈すれば飽和土層でないものは判定の対象外と読めますし,「液性限界に近い含水比を持ったシルト」というものも定義されていませんから,判定ができません。学術的な判断ならば別ですが実務的には既定の判断基準で結果を出しますので,飽和土層でないものは対象に含める必要はないと思います。これは,私の個人的な見解です。


上記により液状化判定が必要,となった場合の判定基準はこちらです。

地盤の液状化の判定

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地盤調査の関連情報

地盤調査

└〈孔内水平載荷試験

└〈平板載荷試験

地盤の液状化の関連情報

地盤の液状化の判定

土粒子の粒径による分類

土の粒度試験方法(JISA1204)によれば,土粒子の粒径に応じて次のように分類しています。

土粒子径の範囲19~75mm:粗れき
土粒子径の範囲4.75~19mm:中れき
土粒子径の範囲2~4.75mm:細れき
土粒子径の範囲0.850~2mm:粗砂
土粒子径の範囲0.250~0.850mm:中砂
土粒子径の範囲0.075~0.250mm:細砂
土粒子径の範囲0.005~0.075mm:シルト
土粒子径の範囲0.005mm以下:粘土

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このページの公開年月日:2013年11月16日