2018年4月9日未明に島根県西部で発生しました地震で被害に遭われた方へお見舞い申し上げます。
このページでは,この地震に関して出された行政情報を中心にしてご紹介します。被災されたみなさんと被災地域で支援活動をしようとする人のお役に立てれば幸いです。
<地震の規模等>
発生日時:平成30年4月9日01時32分
マグニチュード:6.1
震源の深さ:10km
最大震度:5強(大田市)(5弱は,出雲市,雲南市,川本町,美郷町)
※ 上記は「気象庁地震情報」による。震源の深さはその後12kmに修正されています。
<内閣府の発表>
第1報として9日正午に「島根県西部を震源とする地震による被害状況等について」を発表。
これによれば,人的被害として負傷者5名,ライフラインとして停電100戸未満,断水100戸,山陰本線の西出雲から東萩の休止などを出しています。この中で,国土交通省の動きとして,島根県と3市2町へ2名ずつの情報収集要員(リエゾン)を朝4時35分までに現地へ到着させたことを紹介しています。
9日16時の第2報では,重症2名,軽症4名,断水1111戸,山陰線の13時30分までの順次再開と西出雲・大田市間で再度の休止が報告されています。
10日7時の第3報では,山陰線の再度の休止が9日17時51分で再開したこと,美郷町で土砂崩壊があったこと,応急危険度判定は出雲市でも実施を検討中であることが報告されています。
11日18時の報告では,建物被害棟数が大田市で608棟であること,地震による廃棄物の仮置き場を大田市の最終処分場の空き地に確保して12日から受け入れ予定であることが報告されています。
12日18時の報告では,応急危険度判定を行った建築物が161棟でそのうち10棟に危険判定をしたことが報告されています。
16日10時の報告では,大田市の断水は14日にすべて回復したこと,応急危険度判定を行った建築物が1768棟でそのうち86棟に危険判定をしたことが報告されています。
18日18時の報告では,応急危険度判定を行った建築物が3464件でおのうち96件に危険判定したこと,被災宅地危険度判定では154件調査して33件に危険判定したことが報告されています。
<島根県の発表>
被災直後の島根県のHPでは,トップページに緊急情報を出していますが,気象庁へのリンクばかりです。県としての専用ページを出したのは9日20時の「島根県西部を震源とする地震についての情報」ですが,内容のほとんどは外部リンクです。交通情報として「一畑電鉄」や「石見交通」など地元の交通機関へリンクできるようになっていますが,そのトップページにリンクしていますから,運行状況を直接に見ることができません。
県の専用ページが出している情報で役に立つのは,対策本部会議に提出した会議資料です。「第1回対策本部会議9日5時」「第2回対策本部会議9日16時」。5時の資料によれば,朝5時にすでに大田市で28か所の避難所が開設され48名の避難者が来ていることが報告されています。大田市立病院の受水槽の亀裂による断水や暖房の停止も報告されています。16時の資料によれば,「大田市から被災した建物を判定する被災建築物応急危険度判定士の派遣要請があり,派遣に向けて準備を進めている。」としています。
「10日8時」の資料によれば,避難者は自主避難で大田市の2か所22人であること,道路の通行制限情報を地図上で示していること,4月10日に予定していた小中学校の入学式を延期した学校を示していることなどがわかります。
「10日14時」の資料によれば,被災建築物応急危険度判定と被災宅地危険度判定を11日から実施すること,出雲市佐多町の林地被害の被害額が1億5000万円であること,公立学校や文化財の被害状況が一覧で示されています。
「11日14時」の資料によれば,自主避難の避難者数は2人になったことがわかります。
「12日14時」の資料によれば,被災者に家賃無料で県営住宅を提供することがわかります。
「13日14時」の資料によれば,翌日に雨が降ることが予報されていることについて警戒を呼び掛けています。
「16日10時」の資料によれば,住家被害認定と罹災証明の発行事務について鳥取県倉吉市職員3名の派遣を依頼したこと,被災建築物応急危険度判定は14日からは県内民間判定士と岡山県笠岡市職員も判定活動に参加していること,被災宅地危険度判定は,島根県,松江市,鳥取県の各2名の3班体制で実施していることがわかります。
「17日14時」の資料によれば,被災宅地危険度判定の体制を縮小したことがわかります。
「19日14時」の資料によれば,島根県の土木部が管理する河川,砂防,道路,河川における被害額が概算で3億9000万円であり,市町管理では1億4000万円であることがわかります。
「20日14時」の資料によれば,住家被害認定調査に県内市町村から4名を派遣することを決定したことがわかります(派遣期間:4月23日~27日)
「23日14時」の資料で数値の時点修正が行われています。
「27日16時」「1」「2」の資料では,連休中を当直による危機管理体制にすることがわかります。
そして,「島根県西部を震源とする地震に係る被災者等への支援体制」というページを恐らく15日頃に公開しています。これによれば,被災者への県営住宅22戸の提供,民間賃貸住宅の無料紹介(家賃が無料ではない),相談窓口設置,県税の減免などをお知らせしています。このページは,20日に更新されて,支援内容が強化されています。生活福祉資金の貸付,国民健康保健料の猶予または免除,医療負担金の一部減免,住宅被害の再建費用の助成(半壊は100万円),農業施設の再建費用の助成(2/3補助),中小企業制度融資,高校生の緊急奨学金(返済必要)など多岐にわたっています。
支援内容が,4月24日頃に強化されて,珍しい補助金が加わっています。
「石州瓦利用促進事業(被災者住宅再建)」被災した住宅を再建するにあたって屋根瓦に石州瓦を使った場合は最大7万円を補助するものです。この促進事業はこの地震以前からあったものらしく,「被災者住宅再建」という用語を加えたものです。被災者でない場合は子育て世帯であることが条件とされているものを,被災者の場合はそれを取り払っています。
「県内産木材活用被災者住宅再建助成事業」被災した住宅を再建するにあたって県内産木材を使用した場合は,新築で30万円を補助するものです。地震以前の制度は子育て世帯という条件があったのだと思います。こうした制度を被災直後に立ち上げるところが流石だと思います。
<大田市の発表>
大田市HPでは,9日24時において次の5つの情報を掲載しています。
「ブルーシートの配布について」「地震発生に伴う、避難所の開設状況について」「被災建築物応急危険度判定の実施について」「平成30年4月9日発生の地震に伴う被害状況について20時00分現在」「給水所の開設について(21時00分現在)」
応急危険度判定は「応急危険度判定をご希望の方は、市役所都市計画課までご連絡ください。」となっています。通常,応急危険度判定は,エリアを決めてその中のすべての建物を実施するものですが,判定を希望する人の建物についてのみ実施するようです。こうした手法は,平成13年の芸予地震で広島県が採用しています。大田市の建物被害状況ではすべての建物で実施する必要はないとの判断だと思われます。
10日23時では,上記を修正して「夜間の避難所の開設について」を掲載しています。
12日23時では,上記に加えて「罹災証明の発行について」と「震災による廃棄物の処分方法について」を掲載しています。災害により発生した廃棄物は12日からの受け入れで,被災者本人による持ち込みか一般廃棄物の処分業者によることが記されています。そして,「被災建築物応急危険度判定実施方法の変更について」で被害が集中している大田町,川合町などでは住宅に対する全数調査に変更したことが記されています。それ以外の場所では引き続き希望による調査です。ブルーシート配布は「ブルーシート・土のう配布」に変更になっています。
13日23時では,上記に加えて「家屋などが損壊した皆様へ」と「地震に伴う総合相談窓口を設置」を掲載しています。修復工事をする前の写真を撮っておくことを勧めています。
17日23時では,「被災建築物応急危険度判定のエリア判定対象地域の実施状況」で判定済みの地域を地図で示しています。
19日16時30分現在で「地震による状況」を出しています。これによれば,家屋被害の半壊が99件以上であること,配布したブルーシートが3800枚であること,応急危険度判定を行った建築物が5230件でそのうちの104件に危険判定をしたことがわかります。
20日の発表で「被災建築物応急危険度判定のエリア判定対象地域の実施状況について(エリア判定は終了しました)」を掲載しています。対象とした範囲を地図で示して,その範囲内の建築物の判定を終了したことがわかります。今後は,エリア外で判定を希望する建物の判定をするとされています。
<ボランティア活動の募集>
9日24時現在,ボランティアを募集するページが見当たりません。10日23時現在も同じです。
12日に,大田市社会福祉協議会のHPに「災害ボランティアセンターを開設します」が掲載されました。これによれば,場所は大田市市民会館で,開設は12日10時からで,初日は被災者の支援要請や相談の受付を開始することになっています。ボランティアの受付・活動は,13日9時からとなっています(恐らく9時よりも前に行っていないと受け付けてもらえないと思います)。
12日のFACEBOOK上に募集案内が掲載されていまして,ボランティアの募集は県内在住の16歳以上の人という条件が付けられています。