<巨大物流倉庫の火災と面積区画>
2017年2月16日に起きた埼玉県の巨大物流倉庫での火災は10日以上燃え続けるという大規模な火災でした。3階建て約7万㎡の倉庫のうち60%程度が焼けたそうです。
巨大な倉庫がひとたび燃え始めると消すことがどれほど困難かが示されました。小さな建物の火災を消すときには外壁にある窓から放水すれば消火できますが,巨大物流倉庫は外壁の開口部が少ないですし,あったとしても,窓から放水が届く範囲は限られていて,建物内部で燃えているものを消すためには,消防隊が燃え盛っている建物内部の奥深くまで進んで放水しなければいけないのですが,安全確保上そんなに奥深くまで行くことなどできません。
火災が燃え広がるのを抑止するための基準があるはずで,これがどうなっているのでしょうか。
〈倉庫の面積区画〉
にまとめました。巨大な倉庫の面積区画をどう適用するかは,「用途上やむを得ない場合」に該当するかどうかということになります。これは,ある意味,あいまいな概念で,何を保管するか,どのように運用するかにかかってくることです。結果を見れば,10日以上燃え続けたのですから,区画を含む安全対策が必要だったといえるでしょう。
この執筆時点(3月9日)でその建物に区画がされていたのかどうか私は知りません。今後原因の究明や対策が発表されるでしょうから注目したいと思います。
<4月13日追記>
4月13日の報道で,防火戸の多くが作動しないか,倉庫の内容物(保管物やベルトコンベアー)などに邪魔されて閉鎖しなかったとされています。また,同日の日経アーキテクチュアーには,各階平面図と防火区画の位置が記載してあって,1500㎡以内ごとに防火区画が設定されていたことがわかります。