増築などに際して既存不適格の継続のない条文(法第86条の7以外)

<増築などに際して既存不適格の継続のない条文(法第86条の7以外)>

増築などを行う場合に既存不適格が継続できるかどうかの考え方は〈いつの建築基準法が適用されるか(既存不適格,遡及適用)〉と〈増築における既存不適格の継続と遡及適用〉で解説したとおりですが,ここでは,法第86条の7での定めがないために小さな増築でも既存不適格が消滅してしまう条文を解説します。

<増築などに際して既存不適格の継続のない条文>

単体規定

法第21条(大規模の建築物の主要構造部),

法第22条(屋根),

法第23条(外壁),

法第24条(木造建築物等である特殊建築物の外壁など),

法第24条の2(内外にわたる措置),

法第25条(大規模の木造建築物等の外壁等),

法第33条(避雷設備),

法第35条(特殊建築物等の避難及び消火に関する技術的基準)のうち,

政令第5章第5節(非常用の進入口),第6節(敷地内の避難上及び消火上必要な通路等)

法第35条の2(特殊建築物等の内装),

法第36条(補足するために必要な技術的基準)のうち,

政令第113条(防火壁の構造規定),政令第112条(防火区画),政令第129条の14,第129条の15(避雷設備)

法第37条(建築材料の品質),

法第39条(災害危険区域)

集団規定

法第43条(接道義務),法第44条(道路内の建築制限),法第53条の2(建築物の敷地面積),法第57条,法第57条の2,法第63条(屋根),法第64条,法第65条,法第66条

上記が,小さな増築でも既存不適格が消滅してしまう条文です。

これらの条文については,面積の小さな増築をしようとしても既存不適格が消滅するので,既存部分を含めて現行法に適合させる必要があります。

増築工事だけではなく,改築もですし,大規模の修繕,大規模の模様替の工事をする場合も既存不適格が消滅してしまいます。

例えば,屋根不燃になっていない既存不適格建築物を増築したい場合は,屋根を不燃材に葺きかえる工事といっしょに行わなければいけません。市街地における屋根不燃は重要なことですから,増築工事を機会に葺きかえ工事を義務付けているのだと思います。

避雷針の設置,非常用進入口の設置は必要になります。あとからでも取り付けられるとの考え方でしょう。

規準として厳しいと感じるのは,法第21条に緩和がないことです。戦前に建てられた立派なお寺の多くは高さが13mを超えていますから,法第21条について既存不適格になっています。これに増築しようとすれば既存不適格が消滅しますから事実上増築ができません。



法第86条の7で緩和されない規定の適用上の疑問

法第37条が緩和されないことは疑問に思っていました。例えば,昭和30年代に建築された建築物を増築する場合は,既存部分にまで法第37条が適用されますから,コンクリートの品質が法第37条の品質規定への適合が求められますが,品質が適合しているはずもなく,結果として,法第37条が適用されるために増築不可能でした。そのことが,H12告示第1446号の改正(平成28年6月13日施行)で解消されました。品質を規定する条文に「ただし,・・現に存在する建築物または建築物の部分に使用されている建築材料にあってはこの限りでない。」が追加されたことで,法第37条は,既存部分へも遡及適用されますが,法第37条自体で既存部分への品質適合は求められません。

既存不適格の関連情報
いつの建築基準法が適用されるか(既存不適格,遡及適用)

増築における既存不適格の継続と遡及適用

既存不適格が継続する小規模な増築工事(法第86条の7第1項)

増築における法第20条の既存不適格の扱い

既存部分に適用される耐震診断など

複数独立部分がある場合の既存不適格の継続(法第86条の7第2項)

既存部分に独立部分が複数ある場合の法第20条の既存不適格の継続

既存部分に独立部分が複数ある場合の法第35条の避難規定の既存不適格の継続

増築部分のみへの現行法適用(法第86条の7第3項)

増築などに際して既存不適格の継続のない条文(法第86条の7以外)

既存部分,増築部分




このページの公開年月日:2016年6月8日