<営業所に置く専任の技術者>
一般建設業許可で営業所に置く専任の技術者は,建設業法第7条第2号のイロハで規定しています。
イ:建設系大学や高等専門学校の卒業でその建設工事に関する3年の実務経験を有するもの(建築に関する工業高校卒業の場合は5年の実務経験)(対象となる大学の学科は建設業法施行規則第1条)
ロ:その建設工事に関する10年の実務経験を有するもの
ハ:大臣が定める有資格者
大臣が定める有資格者とは,施行規則第7条の3「 建設業法施行規則 」と「建設業法第7条第二号イ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するもの」(昭和47年建設省告示第352号)に規定されています。
特定建設業許可で営業所に置く専任の技術者は,建設業法第15条第2号のイロハで規定しています。
イ:一級建築士,一級建築施工管理技士など
ロ:その建設工事に関する10年の実務経験があり,そのうち2年を指導監督的実務経験を有するもの
ハ:現在では使われていないようです。
イで定めるものが何であるかは,昭和63年建設省告示第1317号「建設業法第15条第二号イの国土交通大臣が定める試験及び免許」で規定されています。この告示には,建設業の28種類の工事ごとに必要な資格を定めていますが,ほとんどの場合,「建築工事業」か「土木工事業」のどちらかだと思います。しかも,建築士の業務に関係するのは「建築工事業」ですから,特定建設業許可で建築工事業に必要な免許・資格のみを解説します。この告示によれば,必要な免許・資格は,「一級建築施工管理技士」または「一級建築士」です。
ロで定めるものが何であるかは,ロを読めばわかります。ロによれば,建設業法第7条第二号イロハのもので元請けで4500万円以上(政令第5条の3)の請負金額で二年以上の指導監督的な実務経験を有するものとされています。ここで「指導監督的な実務経験とは何か」との疑問が生じますが,法令上は定めがないけれども,主任技術者としての実務経験として扱われているようです。
ここまで説明したのに覆しますが,特定建設業の建築工事業は政令第5条の2で規定される「指定建設業」ですから,ロは排除されます。したがって,指定建設業でもある特定建設業の建築工事業は,イのみが適用されて「一級建築施工管理技士」または「一級建築士」が必要です。
ロは指定建設業でない特定建設業であれば有効です。でも,「指定建設業でない特定建設業」とは,大工工事業,左官工事業,とび・土工工事業,石工事業,塗装工事などですから,これらの工事業で,特定建設業でなければならない状況,つまり,左官工事を請け負って,3000万円以上の左官工事を下請けに出すことが起こり得るとはほとんど考えられません。とはいえ,左官工事業の特定建設業を取っている会社もありますから,その会社にとってはロは有効です。
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<各業種ごとに必要な資格>
<こぼれ話>
建設業法第7条の第二号ハの「大臣が定める」は通常は告示で定めるものです。しかし,なぜか施行規則と告示の両方で定めています。なぜ,同じことを両方で定めているのか,ちょっと不思議です。
<注意>
「営業所に置く専任の技術者」という用語をよく使いますが,実は,そういう法律用語はありません。
一般建設業であれば建設業法第7条第二号柱書の者,特定建設業であれば同法第一五条第二号柱書の者を言うようです。
法律上の文面は,
「営業所ごとに,次のいずれか(イロハのこと)に該当する者で専任のもの」となっています。
<建設業法の関連情報>〈建設業法の許可の要否〉
〈一般建設業許可と特定建設業許可〉
〈営業所に置く専任の技術者〉
〈現場代理人〉
〈主任技術者と監理技術者〉
〈施工体系図と施工体制台帳〉
〈専門技術者〉
〈経営業務管理責任者〉
〈建設工事請負契約の条件〉
<工事監理の関連情報>
〈施工体制のチェック〉 〈工事監理の業務範囲〉
〈工事監理の責任範囲〉
〈基礎杭工事の工事監理〉
〈公共工事の工事監理〉
└〈経営事項審査〉
└〈建設廃棄物処分の監理〉
└〈下請け契約の留意事項〉
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このページの公開年月日:2013年7月