防火区画に設ける防火設備の閉鎖機構(煙または熱感知)

<防火区画に設ける防火設備の閉鎖機構(煙または熱感知)>

防火区画に設ける防火設備の扉部分に適用される基準については,〈防火区画に設ける防火設備〉で解説しました。このページでは,その閉鎖機構について解説します。

閉鎖機構は,煙または熱に感知して閉鎖するものと煙に感知して閉鎖するものとに分かれますので,このページでは,煙または熱に感知して閉鎖するものの閉鎖機構について解説します。

「~感知して閉鎖」と書きましたが,常閉式もありますので,それを含めて解説します。


煙または熱に感知して閉鎖することが求められるものは,令第112条第1項本文,第2項,第3項の特定防火設備と第5項の防火設備です。これに適用される基準は次の通りです。

性能に関する技術的基準 条文指定の構造方法 個別認定の構造方法【認定番号の冒頭】
令第112条第13項第1号イロハニ S48告示第2563号 各社の認定【CAT】

性能に関する技術的基準は,

令第112条第13項第1号

イ  常時閉鎖若しくは作動をした状態にあるか,又は随時閉鎖若しくは作動をできるものであること。

ロ  閉鎖又は作動をするに際して,当該特定防火設備又は防火設備の周囲の人の安全を確保することができるものであること。

ハ  居室から地上に通ずる主たる廊下,階段その他の通路の通行の用に供する部分に設けるものにあつては,閉鎖又は作動をした状態において避難上支障がないものであること。

ニ  常時閉鎖又は作動をした状態にあるもの以外のものにあつては,火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合のいずれかの場合に,自動的に閉鎖又は作動をするものであること。

上記は,防火設備が守るべき性能目標を示しただけで,具体の構造方法は,「国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの」と規定されていて,それはS46告示第2563号です。この告示で規定しているのは,常時閉鎖式防火戸は面積が3㎡以内であること閉鎖中に人に触れた場合に閉鎖が停止すること感知式防火戸の場合はそばに常時閉鎖式防火戸がついているか小扉が内蔵されたものであること感知器が予備電源により作動するものであること感知器の性能や位置に関する制限などが定められています。

この告示で定めていることの概略は上記のとおりですが,その定めが,第1から第4までに分類されていて,どれを適用するのかについて混乱しやすいです。

第1から第4の適用の違いは次のとおりです。

告示第2563号 防火設備が守るべき性能目標 適用される状況
第1 令第112条第13項第1号イからニまで(煙感知) 令第112条第13項第1号ハにいう居室から地上に通じる廊下などの部分に設ける場合で,煙感知で作動させる場合
第2 令第112条第13項第1号イからニまで(熱感知) 令第112条第13項第1号ハにいう居室から地上に通じる廊下などの部分に設ける場合で,熱感知で作動させる場合
第3 令第112条第13項第1号イ,ロ,ニ(煙感知) 令第112条第13項第1号ハにいう居室から地上に通じる廊下などの部分に設けるものではなく,煙感知で作動させる場合

 

(令第129条の13の2第3号,令第136条の2第1号が適用される場合を含む)

第4 令第112条第13項第1号イ,ロ,ニ(熱感知) 令第112条第13項第1号ハにいう居室から地上に通じる廊下などの部分に設けるものではなく,熱感知で作動させる場合

 

(令第129条の13の2第3号,令第136条の2第1号が適用される場合を含む)

第1・第2と第3・第4の違いは,第1号のハが適用になっているかどうかです。ハは避難経路に防火戸を設ける場合です。したがって,避難経路の防火戸は,第1・第2の条件が適用され,避難経路でなければ第3・第4でいいことになり,小扉の併設・内蔵が必要ありません。

第1・第3と第2・第4の違いは,煙による感知であるか熱による感知であるかの違いです。でも,この告示を適用するのは,煙・熱のいずれかに感知して閉鎖することが求められているのですから,通常は,高いレベルにある煙感知ではなく熱感知を選ぶので,第2・第4を適用することになります。

そして,通常,防火戸は避難経路にありますから,この告示で適用になるのはほとんどの場合は第2です。

第2で定めている条件を解説します。

第2には,第1号と第2号があって,いずれかに適合していればいい規定です。第1号,第2号で規定していることを概略すると次の通りです。

第1号:常時閉鎖式の防火設備

面積が3㎡以内の防火戸で,直接手で開くことができ,かつ,自動的に閉鎖するもの

防火戸の重量に閉鎖する時の速度の二乗を乗じた値が20以下である。

防火戸の質量が15kg以下であるか,閉鎖する力が150N以下であるか,閉鎖中に人と接触することで閉鎖が停止する

第2号:随時閉鎖できて,熱に感知して閉鎖する防火設備

閉鎖については第1号の条件を満たしていること

熱感知器または熱煙複合式感知器と連動して自動的に閉鎖するもの(感知器の位置の条件や予備電源など)か,温度ヒューズと連動して自動的に閉鎖するもの(温度ヒューズの位置やヒューズが解ける温度など)

※ このページは,防火設備の閉鎖機構について解説するものなのですが,それを規定するS48告示第2563号は,熱感知という条件だけではなく,防火戸の面積の制限や閉鎖する時の挟まれ防止などについても規定していますから,それらを含めて解説しました。





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常時閉鎖式防火戸

「常時閉鎖式防火戸」という用語は,法令上は使われておらず,S48告示第2563号で使われ,定義されています。

常時閉鎖式防火戸:面積が3㎡以内の防火戸で,直接手で開くことができ,かつ,自動的に閉鎖するもの

エレベーターの扉

面積が3㎡以内のEVの出入り口の防火戸で,人の出入りの後20秒以内に閉鎖するものは,「常時閉鎖状態」という令第112条第13項第1号イの条件を満たすものとされています(S48告示第2563号第1第1号イ(2))。

個人意見

S48告示第2563号の第1・第2と第3・第4の違いは,避難経路にあたる防火戸であるかどうかで適用を変えるものです。具体には第1第2号ロが適用になるかならないかです。ロには,その冒頭で「居室から地上に通ずる主たる廊下,階段その他の通路に設けるものにあっては」との適用条件がついているのですから,第3・第4がなくても,避難経路の防火戸の適用を区別できるようになっています。

個人意見

熱感知で閉鎖する防火戸には小扉(幅75cm以上,高さ1.8m以上)の設置義務があります。実は,この小扉には3㎡以下であることとの条件も閉鎖する時の条件(力や挟まれ防止)も定められていません(個人意見)。小扉は通常,75×180の基準ギリギリで作りますから気にすることはありませんが,3㎡を超える扉も「これは基準に適合する小扉だ」と主張すれば,それを違法とする条文はないのだと思います。

防火設備に係る関係条文」(国土交通省HP)



このページの公開年月日:2018年2月4日