適用除外となる建築物(用途)

<適用除外となる建築物(用途)>

建築物省エネ法の「建築物エネルギー消費性能適合性判定(法第12条)」と「中規模以上の建築物の届出(法第19条)」は,建築物の規模によって適合性判定(前者)か届出(後者)かの手続きを義務付けたものですが,自動車車庫などの省エネ性能をあまり必要としない用途の建築物については,適用除外になっています。

適用除外の根拠が法第18条です。第18条は適合性判定の制度を適用除外したものですが,届出制度についても,法第22条で法第18条各号を適用除外としています。

法第18条 この節の規定は,次の各号のいずれかに該当する建築物については,適用しない。

一 居室を有しないこと又は高い開放性を有することにより空気調和設備を設ける必要がないものとして政令で定める用途に供する建築物

二 法令又は条例の定める現状変更の規制及び保存のための措置その他の措置がとられていることにより建築物エネルギー消費性能基準に適合させることが困難なものとして政令で定める建築物

三 仮設の建築物であって政令で定めるもの

政令では,

令第7条 法第18条第一号の政令で定める用途は,次に掲げるものとする。

一 自動車車庫,自転車駐車場,畜舎,堆肥舎,公共用歩廊その他これらに類する用途

二 観覧場,スケート場,水泳場,スポーツの練習場,神社,寺院その他これらに類する用途(壁を有しないことその他の高い開放性を有するものとして国土交通大臣が定めるものに限る。)

2 法第18条第二号の政令で定める建築物は,次に掲げるものとする。

一 文化財保護法(昭和25年法律第214号)の規定により国宝,重要文化財,重要有形民俗文化財,特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物として指定され,又は仮指定された建築物

二 文化財保護法第143条第1項又は第2項の伝統的建造物群保存地区内における同法第2条第1項第六号に規定する伝統的建造物群を構成している建築物

三 旧重要美術品等の保存に関する法律(昭和8年法律第43号)の規定により重要美術品等として認定された建築物

四 文化財保護法第182条第2項の条例その他の条例の定めるところにより現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物であって,建築物エネルギー消費性能基準に適合させることが困難なものとして所管行政庁が認めたもの

五 第一号,第三号又は前号に掲げる建築物であったものの原形を再現する建築物であって,建築物エネルギー消費性能基準に適合させることが困難なものとして所管行政庁が認めたもの

六 景観法(平成16年法律第110号)第19条第1項の規定により景観重要建造物として指定された建築物

3 法第18条第三号の政令で定める仮設の建築物は,次に掲げるものとする。

一 建築基準法第85条第1項又は第2項に規定する応急仮設建築物であって,その建築物の工事を完了した後3月以内であるもの又は同条第3項の許可を受けたもの

二 建築基準法第85条第2項に規定する事務所,下小屋,材料置場その他これらに類する仮設建築物

三 建築基準法第85条第5項の規定による許可を受けた建築物

<適用除外の解説>

居室を有しない建築物が適用除外なのではない

適用除外を規定している法第18条第1号は勘違いしやすい条文です。

第18条第1号 居室を有しないこと又は高い開放性を有することにより空気調和設備を設ける必要がないものとして政令で定める用途に供する建築物

この条文は「居室を有しない建築物を適用除外している」のではありません。下線部は単なる飾りで,「政令で定める用途に供する建築物が適用除外」です。したがって政令第7条第1項で列記した用途の建築物だけが適用除外されるものです。


令第7条第1項第1号のその他これらに類するもの(倉庫も適用除外)

令第7条第1項第1号を見て「倉庫はどうなるんだろう?」と思います。

倉庫は,令第7条第1項第1号の「その他これらに類する用途」に含むものとされています。

第1項第1号の「自動車車庫,自転車駐車場,畜舎,堆肥舎,公共用歩廊その他これらに類する用途」の「その他これらに類するもの」としては,「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の施行について(平成29年3月15日技術的助言)」で,「倉庫又は危険物の貯蔵場のうち常温のもの,変電所,上下水道に係るポンプ施設,ガス事業に係るガバナーステーション又はバルブス テーション,道路の維持管理のための換気施設,受電施設,ポンプ施設等」と「水産物の養殖場又は増殖場等で常温のもの」を規定しています。


令第7条第1項第2号の高い開放性を有するもの

第1項第2号の「壁を有しないことその他の高い開放性を有するものとして国土交通大臣が定めるもの」とは,「壁を有しないことその他の高い開放性を有するもの(H28告示第1377号)」で定めています。壁がない場合や床面積の20分の1以上が開放されている場合です。この開放されている建物の適用除外は,もととなる政令の「観覧場,スケート場,水泳場,スポーツの練習場,神社,寺院その他これらに類する用途」だけに適用されるものです。

※開放されている部分の床面積不算入は,令第4条第1項で規定されています。


適用除外は自動車車庫の建築物

法第18条による適用除外は,第18条(と令第7条第1項第1号)で規定する建築物です。「自動車車庫である建築物が適用除外」なのであって,「建築物の自動車車庫の部分が適用除外なのではない」ことに注意してください。18条の条文を素直に読めばそのように読めますし,平成29年3月15日技術的助言にもそのように解説されています。

事務所ビルに自動車車庫がある場合,自動車車庫を含む床面積が2000㎡を超えれば特定建築物となり適合性判定を必要とします。(自動車車庫の部分に開放性があれば令第7条第1項第2号で床面積から除外できます。)