<JIS規格の改正の扱い>
構造体に使用する鋼材やコンクリートは「指定建築材料」であり,その品質は,H12告示第1446号で規定されたものを守らなければいけません。〈指定建築材料〉を参照。
この告示で規定している日本工業規格(JIS)が改定された場合の扱いはどなるのでしょうか。
実は,告示で指定しているJISは対応するJIS番号を書いているだけではなく,改定年まで書いてあります。
例えば,レディミクストコンクリートは,「JISA5308-2003」とされています。現在(2016年4月)のレディミクストコンクリートは2014年版ですから,告示では消えてしまった古いJISを指定していることになります。
その他,
建築材料 | 告示で規定するJIS | 告示で規定する年 | 最新版JISの年 |
レディミクストコンクリート | JISA5308 | 2003年 →
2014年に改正(2016年6月) |
2014年 |
鉄筋コンクリート用棒鋼 | JISG3112 | 1987年 | 2010年 |
一般構造用圧延鋼材 | JISG3101 | 1995年 | 2010年 |
軟鋼用被覆アーク溶接棒 | JISZ3211 | 1991年 | 2008年 |
建築用ターンバックル | JISA5540 | 2003年 | 2008年 |
軽量気泡コンクリートパネル | JISA5416 | 1997年 | 2007年 |
のようになっています。指定建築材料は法第37条により品質を適合させなければいけませんが,例えば,コンクリートは2003年のJISに適合させて作らなければいけないということでしょうか。
基本的に基準というものは強化され続けるのですから,新しい基準で作ったものは古い基準にも適合しています。
このあたりは,「建築物の構造関係技術基準解説書2015年版」の56ページに「(旧規格に)適合している場合には,改正されたJIS等による材料であっても使用することは可能である。」「材料告示のJIS等の規格の年号が改正された場合も,新規格が旧規格に上記の内容で適合していれば,新たに認定を取得したり,すでに取得した認定を再度取得し直す必要はない。」とされています。
上記は新規格が旧規格よりも強化されれている場合に言えることであって,緩和された場合は,難しくなります。
以下は個人見解です。
緩和された場合,新規格で作られたものは,旧規格には適合していませんから,H12告示第1446号を満たしたことになりません。例えば,レディミクストコンクリートのJISA5308で2014年版から回収骨材の扱いが追加されましたが,告示が規定する2003年版にはなかった規定ですから,素直に読めば,「回収骨材を使って新規格に適合させて作った生コンは旧規格には適合していない」となります。「2014年版で回収骨材の扱いを明文化しただけであり,それ以前に禁止していたわけではない」ということらしいのですが,釈然としません。
緩和されることはありうることで,緩和できる理由があったから緩和するのですから,告示でもそれを認めるべきと考えます。
新規格が強化である場合は問題ないのかというと,そうでもありません。
JIS規格品を注文する限り,新規格の強化された品質のものが納品されるのですから問題はありませんが,規格品ではない場合は,強化される前の旧規格で製造できることになります。規格の強化はその必要性があったから,つまり,旧規格には問題があったから,強化したのですから,旧規格の製品を認め続けることは問題があるでしょう。
上記は,平成28年4月30日に記載したものですが,6月13日の告示改正で結論が出ています。
〈生コンで回収骨材使用は不可(平成28年6月品質規定告示改正)〉にまとめました。
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このページの公開年月日:2016年4月30日