<大気汚染防止法改正(平成26年6月1日施行)>
既存建物にはアスベスト含んだ建材が使われていることがあって解体工事や改修工事をするときに「大気汚染防止法」が関係してきます。
この法律が改正され,平成26年6月1日に施行されました。
この改正は,「建築物の解体等における石綿の飛散防止対策の更なる強化が必要」との考え方で行われたものです。
改正概要については,環境省資料を出しています。
「大気汚染防止法の一部を改正する法律案の閣議決定について」(環境省発表)
「大気汚染防止法の一部を改正する法律案」(環境省発表)
「大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行等について」(環境省通達H260529)
※ アスベストの解説はこちらです⇒〈アスベストの解説〉
改正内容を簡単に解説しますと,
① 特定粉じん排出等作業の実施の届出義務者を解体工事の施工者から発注者に変更(法第18条の15第1項)
② 解体工事の受注者に,石綿使用の有無の事前調査の実施と,発注者への調査結果の義務付け(法第18条の17第1項)
③ 調査結果の現場での表示(法第18条の17第4項)
が,おおまかな内容です。
届出を必要とする解体工事は,80㎡以上などの規模要件がありません。小さな建物でも特定粉じんを出す可能性のある解体工事は適用されます。
届出義務は,「特定粉じん等作業」伴う建設工事(「特定工事」という)を行う場合に生じます(法第18条の15)。「特定粉じん等作業」とは,「特定建築材料」(レベル1,レベル2)が含まれている建築物の解体,改造,補修をする作業です(法第2条第12項)。
調査義務も,規模要件はありません。ただし,平成18年9月1日以後に工事に着手した建物を解体する場合は除かれています(施行規則第16条の5)。行う調査は,「特定工事に該当するか否か」です。したがって,解体しようとする建物にレベル1レベル2のアスベストが含まれているかどうかを調べることが,義務付けられた調査です。
調査結果は,発注者に対して書面交付が必要です(法第18条の17)。
調査結果は,現場に表示する義務があって,掲示する内容は,調査したものの氏名・住所,調査を終了した年月日,調査方法,調査結果(レベル1レベル2の有無)です(施行規則第16条の9)。
上記①の法第18条の15第1項の届出様式は,「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル2014.6」(環境省HP)の29ページに「様式3の4特定粉じん排出等作業実施届出書」が示されています。
上記②の調査結果の報告様式,上記③の現場での表示看板の様式は,法律上は定めがありませんし,環境省HP内にも見当たりません。
②の調査結果の報告は,「調査を終了した年月日」「調査方法」「調査結果(特定材料の有無)」を施工者名で発注者に報告するだけ(大気汚染防止法施行規則第16条の7)ですから,様式が定められていなくても大丈夫との考えでしょう。
③の現場での表示看板も,「調査者の氏名等」「調査を終了した年月日」「調査方法」「特定建築材料があった場合はその種類等」を書いて貼り出す(大気汚染防止法施行規則第16条の10)だけですが,外に出すものですから法的な規定でなくても環境省からサンプルぐらいは提示してほしかったと思います。市原市が参考「建築物等の解体等の作業に関するお知らせ」を公開しています。これは,石綿があった場合のものですから,なかった時は法令上の最低限を出せばいいのだと思います。
[ckchouritsu1]