定期報告対象となる建築物の条文の読み方

<定期報告対象となる建築物の条文の読み方>

定期報告対象となる建築物を規定した条文は次の部分です。

法第12条第1項:法第6条第1項第一号に掲げる建築物で安全上,防火上または衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの

政令第16条第1項:~~政令で定める建築物は,次に掲げるもの(~~恐れの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
第一号から第五号

この条文の読み方は,次の通りです。

政令に「政令で定める建築物は,次に掲げるもの」と書かれているのですから,政令各号が定期報告対象建築物であると思われがちですが,ここに見落としやすい条文が挟まっていて,それは,同項のかっこ書きで「~~恐れの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く」があるため,告示を見る必要があります。

その告示は,平成28年告示第240号第1でして,ここで定期報告対象建築物が特定されます。で,この告示の読み方も,「次に掲げるもの以外のものとする」としていること,さらにその「次に掲げるもの」の次にかっこ書きがあってさらに除かれているために,とても読みにくい条文になっています。

H28告示第240号

第1 ~~支障が生ずる恐れの少ない建築物は,次に掲げるもの(避難階以外の階を建築基準法別表第一(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供しないもの並びに地階及び3階以上の階における当該用途に供する部分の床面積の合計がそれぞれ100㎡以下のものを除く。)以外のものとする。

第1号から第6号

法第12条第1項,政令第16条第1項各号,告示第1第1項各号,告示のかっこ書きの読み方は次の通りです。

  • 政令各号は,告示各号よりも大きな集合であるため,これを読む必要はない
  • このため,定期報告対象となる建築物は,告示各号のうち告示かっこ書きで除いたもの

となります。


読み方は上記のとおりですが,それを一覧表にまとめたものが「国土交通省HP」に出ています。

新たな定期報告制度の施行について

この表の見方をちょっとだけ解説しますと,表の下の「※1」で小さく書いている文字が「建築物全体」にかかっていますから,「該当する用途の部分が避難階のみにあるものは対象外」が適用されます。また,「※2」は「該当する用途の部分が100㎡超えのものに限る」ですから,表の表記が「3階以上の階にあるもの」とされていますが100㎡以下であれば対象ではありません。

この表の用語で見慣れないものがあります。「就寝用福祉施設」です。

政令第16条第1項第3号を告示で限定しているのが告示第1の第3号と第4号で,表で「就寝用福祉施設」としているのは,第4号の「高齢者,障害者等の就寝の用に供する用途に供する建築物」で,その用語は告示第1第2項で定義したものです。

さて,上記ポータルサイトの一覧表の読み方を,もう少しだけ補足します。

法別表第1の用途に供する面積が合計で100㎡以下のものは対象ではない:法第12条第1項の冒頭が「法第6条第1項第一号に掲げる建築物で」となっていますからいわゆる「1号もの」でないものは,対象になり得ません。表の中でも※2に「100㎡超えのものに限る」とされていますから,そのとおりです。

「3階以上の階にあるもの」とは,3階以上の床面積が100㎡以上であるものに限られる:※2に「100㎡超えのものに限る」とされていますが,2階と3階の合計で100㎡以上ある場合はどうなるのかが明確ではありません。告示のかっこ書きで「3階以上の階における当該用途に供する部分の床面積の合計がそれぞれ100㎡以下のものを除く。」とありますから,2階の面積を加えて100㎡を超えたからと言って対象になったりはしません。このかっこ書きの文面で,「3階と地階を合わせて100㎡を超える場合はどうなんだ」とも思いますが,「床面積の合計がそれぞれ100㎡以下のものを除く」ですから,合わせて100㎡を超えたからと言って対象にはなりません。

2階の床面積が300㎡以上であるもの:これは迷わないと思います。告示第1第三号の後半に規定されています。

<特殊建築物との関係>

「法別表第1(い)欄に掲げる用途の特殊建築物」という用語とその定義の中にある「児童福祉施設等」という用語と,上記の定期報告対象の建築物との関係がわかりにくいです。定期報告の対象となる建築物は法第12条第1項で「法第6条第1項第一号に掲げる建築物で」とありますから,法別表第1(い)欄に掲げる用途の特殊建築物の中から指定されています。「定期報告制度ポータルサイト・建物の所有者の方へ」を見ても,劇場,映画館,観覧場,集会場,病院などと並んでいますから,特殊建築物と一致しています。でもその中に「就寝用福祉施設」があって,そこに列記されるものがわかりにくいです。これらのほとんどは「児童福祉施設等」に定義されるもので,そうでないものとしては「サービス付き高齢者向け住宅」が共同住宅か寄宿舎か有料老人ホームに該当する特殊建築物であり,「認知症高齢者グループホーム」と「障害者グループホーム」が寄宿舎に該当する特殊建築物です。

関連用語:〈特殊建築物〉〈児童福祉施設等

「就寝用福祉施設」に列記されるものの中で「児童福祉施設等」に該当しない,または,該当することが読みにくいものの根拠法令は次のとおりです。

就寝用福祉施設 根拠法令
サービス付き高齢者向け住宅 高齢者の居住の安定確保に関する法律
認知症高齢者グループホーム 介護保険法第8条第14項の認知症対応型共同生活介護
障害者グループホーム 障害者総合支援法
小規模多機能型居宅介護の事業所,
看護小規模多機能型居介護事業
介護保険法

「盲導犬訓練施設」は根拠がわかりません。





特定建築物の定義

2016年6月施行の定期報告制度改正で「特定建築物」という用語が新設されています。〈特定建築物の定義

定期報告制度2016の関連情報
定期報告対象となる建築物の条文の読み方

└〈特定建築物の定義

定期報告対象となる建築設備の条文の読み方

└〈建築設備の定義

└〈建築設備等,特定建築設備等の定義

└〈政令で定める防火設備の定義

新定期報告制度の解説ページ

定期調査,定期検査,定期点検(建築防災協会HP)

修正

以前,このページで,地階と3階の床面積を加えて100㎡を超えた場合は定期報告の対象となることを書いていましたが間違いでした。2016年6月1日に修正しました。



このページの公開年月日:2016年2月28日