簡易な構造の建築物の緩和

<簡易な構造の建築物の緩和>

建築物の定義〉に該当するものに建築基準法が適用されるというのが原則ですが,屋根だけで壁のない自動車車庫や,テント屋根のスポーツ練習場などは「簡易な構造の建築物」として法第84条の2でいくつかの条文が適用除外になっています。

法第84条の2  壁を有しない自動車車庫,屋根を帆布としたスポーツの練習場その他の政令で指定する簡易な構造の建築物又は建築物の部分で,政令で定める基準に適合するものについては,第22条から第26条まで,第27条第1項及び第3項,第35条の2,第61条から第64条まで並びに第67条の3第1項の規定は,適用しない。

※ 簡易な構造の建築物の関係条文をまとめた資料としては「簡易な構造の建築物について(星野商店HP)」があります。

<適用除外となる条文>

法第84条の2で適用除外になる条文は,同条に列記されていますから簡単ですね,と思いますが,もうひとひねりあります。政令第136条の11で政令の規定を適用除外にしていますからこれが加わります。

簡易な構造の建築物で適用除外になる条文
法第22条:屋根不燃,

法第23条:木造の外壁,

法第24条:木造である特殊建築物の外壁,

法第24条の2:上記の区域が建物の内外にわたる場合,

法第25条:大規模木造の外壁,

法第26条:防火壁,

法第27条第2項:耐火建築物(倉庫,自動車車庫),

法第35条の2:内装制限,

法第61条から第64条,第67条:防火地域,準防火地域の制限,

令第112条(面積区画),第114条,第5章の2(内装制限)

※ 法第6条は列記されていないので確認申請は必要です。

<緩和の対象となる建築物の条件>

緩和の対象となる建築物ですが,「壁を有しない自動車車庫や屋根を帆布としたスポーツの練習場」が対象となると思われがちですが,この条文の「その他の」よりも前の文面は例示しただけですので条文として有効なのはその後ろの「政令で指定する簡易な構造の建築物又は建築物の部分」で,「政令で定める基準に適合するもの」です。〈「その他」と「その他の」

前者の,「簡易な構造の建築物または建築物の部分」とは,政令第136条の9で規定されていて,開放的建築物とテント建築物が規定されています。開放的の定義は,H5告示第1427号で定義されています。「建築物の部分」とは政令同条のカッコ書きに区画がされている場合とされています。

後者の,定める基準とは,政令第136条の10で規定されています。

「緩和の対象となる建築物の条件」は上記のように定められているのですが,これを読み解くのは結構大変です。読み解くためには次の3つのことを頭の中で整理しながら法文を読んでください。

1.建物全体が対象となる建築物なのか,一部が対象となる建築物なのかを区別する

2.開放的簡易建築物(政令第136条の9第1号)なのか,テント建築物(同条第2号)なのかを区別する

3.上記を区別した上で,付加規定である政令第136条の10のどれに適合させねばならないかを見る

なかなかに読み解くことが難しいです。

このページの公開年月日:2017年10月16日