<筋かい接合部設計の考え方と設計例>
山形鋼(アングル)を筋かいとして使う場合の保有耐力接合を満たした接合部設計を解説します。設計の条件(ルール)は〈筋かい材の靭性確保〉で説明したとおりです。
Aj・σu≧1.2Ag・F
という条件がありますから,筋かい軸部(母材)の断面欠損のない断面積で基準強度で発揮される軸力を1.2倍した軸力について接合部が破断しないことを確認しなければいけません。
山形鋼の端部にはボルト穴を開けますから,必ず断面欠損が生じます。さらに突出部の一部を断面積から除外します。したがって,有効な断面積だけで破断検討をしなければいけません。
SS400の場合,F=235kN/mm2,σu=400kN/mm2ですから,接合部の断面積は,母材の断面積の1.2×235/400=70.5%以上が必要となります(SN490の場合は,79.6%)。
山形鋼75×75×9,HTB(F10T)M12として,
軸部断面積Ag=1269mm2
ボルト穴は,ボルト径+2mmで,HTBが3本だと突出部の50%を無効にするので,Aj=805mm2となり,1269×70.5%=888より小さくなってしまって適合しません。
そこで,HTBを4本にすると突出部の無効は33%ですから,Aj=920で適合します。
次にHTB部の破断を検証します。
1.2×1269×235=357kN以上の耐力が必要です。
M12を4本ですから,4×113×1000×0.75=339で適合しません。
そこで,M12を5本にして,423で適合します。
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Ⅰ 構造力学
〈構造力学(法則・基本的な考え方)〉
〈構造力学(解法1)〉
〈構造力学(解法2)〉
〈トラス構造解法の補足〉
〈CM0Q算出の仕組み〉
〈梁理論の補足〉
Ⅱ 構造躯体として使われる材料の特性
〈材料力学〉 〈種々の構造材料の品質等〉
〈構造材料の許容応力度等〉
〈コンクリートの許容応力度等〉
〈鉄筋の許容応力度等〉
〈鋼材(炭素鋼)の許容応力度等〉
〈高力ボルトの許容応力度等〉
〈あと施工アンカー1本あたりの許容耐力など(H13告示第1024号による)〉
〈形によって決まる許容応力度〉
〈構造の仕様書的規定〉
Ⅳ 建築構造安全性判定手法
〈建築構造安全性判定手法〉
〈構造体をモデル化する手法〉
〈構造解析で算出された存在応力を割り増しするルール〉
〈既存建物の耐震診断と耐震改修〉
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このページの公開年月日:2016年8月25日