<CM0Q算出の仕組み>
建築分野では,構造体が柱・梁で構成されていることが多く,その柱・梁を線材としてモデル化することが多いです。この線材はモーメントを伝えるものでありそれぞれの線材を剛接合した構造をラーメン構造といいますが,このラーメン構造を解くためのスタートとして必要な知識が,「CM0Q」です。
まず,「CM0Qとは?」
C:両端固定された1本の梁の両端に作用するモーメント
M0:単純支持された1本の梁の中央に作用するモーメント
Q:両端固定または単純支持された1本の梁の端部に作用するせん断力
のことです。
CM0Qはいずれも梁の断面力です。断面力の説明なら「静定力学講座・断面力の計算」(近畿大学工学部)がわかりやすいです。
このページでは,CM0Qを算出する仕組みを説明します,CM0Qは,両端固定梁と単純支持梁ですが,梁の最も単純な形である片持ち梁をスタートとして,説明していきます。下の①からクリックして中身を見てください。
梁中央に力が作用する場合のCM0Qとは,③の固定端モーメント,②の中央モーメント,②③の端部せん断力のことです。
梁全体に等分布荷重が作用する場合のCM0Qとは,⑥の固定端モーメント,⑤の中央モーメント,⑤⑥の端部せん断力のことです。
①から順に複雑になりますが,②では①の考え方を使っています。③は①と②の考え方を使っています。このように段階を追っていくような説明ならわかりやすいと思ったのですがどうでしょうか。
次は,応用問題です。
最後の⑦は,不静定構造ですから構造力学の分野では難しいものに含まれますが,①から⑥の考え方がわかっていれば不静定構造も解くことができます。⑦だけは式の途中を四角で消して練習問題にしています。
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<「CM0Q」を日本語に>
「CM0Q」ってなんだ,って思いますね。日本語に置き換えてほしいものです。単一の単純支持梁や両端固定梁の端部モーメント,中央モーメント,端部せん断力のことで,これを言葉にするのですから,「単一梁の端部・中央部のモーメント・せん断力の性状」でどうでしょうか。他には,端部や中央の値を知ることで梁内のすべてのモーメントなどが算出できるという意味で「梁要素の断面力分布算出のための代表値」という言い方もできるでしょう。「CM0Q」がわかれば梁要素内の内力分布がわかるのかと言えば,決してそれだけで内力分布がわかるわけではありませんが,「~ための代表値」と言っているのですからいいことにしてください。それをもう少し短くして「梁代表断面力」ではどうでしょうか。
「CM0Q」を日本語に-->「梁代表断面力」
<公式としてのCM0Q>
CM0Qを公式として覚えておくことは構造計算を進める上で重要なことです。でも,それ以前に,CM0Qが算出できる仕組みが理解できていることが構造力学の理解へとつながります。公式を覚えて解析ソフトで構造計算をさせれば答えは導き出されますが,それは理解したことにはならないのだと思います。構造力学を理解するためのひとつの項目としてこのページでCM0Qの算出を紹介しています。
<構造設計の関連情報>
Ⅰ 構造力学
〈構造力学(法則・基本的な考え方)〉
〈構造力学(解法1)〉
〈構造力学(解法2)〉
〈トラス構造解法の補足〉
〈CM0Q算出の仕組み〉
〈梁理論の補足〉
Ⅱ 構造躯体として使われる材料の特性
〈材料力学〉 〈種々の構造材料の品質等〉
〈構造材料の許容応力度等〉
〈コンクリートの許容応力度等〉
〈鉄筋の許容応力度等〉
〈鋼材(炭素鋼)の許容応力度等〉
〈高力ボルトの許容応力度等〉
〈あと施工アンカー1本あたりの許容耐力など(H13告示第1024号による)〉
〈形によって決まる許容応力度〉
〈構造の仕様書的規定〉
Ⅳ 建築構造安全性判定手法
〈建築構造安全性判定手法〉
〈構造体をモデル化する手法〉
〈構造解析で算出された存在応力を割り増しするルール〉
〈既存建物の耐震診断と耐震改修〉
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このページの公開年月日:2016年7月18日