Ⅰ 構造力学(法則・基本的な考え方)
⑤外力と内力の考え方
物体に外から作用する力を外力といいます。内力は物体内部に生じている力です。
外力は例えば構造体に作用する地震力であたり風荷重だったりします。その構造体は地面で支持されていますから作用した地震力に対して反力を返します。反力も含めて外力です。外力についてはイメージできると思います。
問題は内力です。内力を説明するHPとしては,例えば,
「内力と外力(物理のお助け人)」があります。
内力の意味は「内力(コトバンク)」を見てください。
手のひらに物を持って腕の筋力で持ち上げるときに,手のひらから物へ力が作用し,物は手のひらへ反力を返しますがそれは外力です。腕の筋肉に力が生じていますがそれが内力です。
構造力学の壁として「力は見えない」がよくあげられます。この見えないものをどのように表現するか,イメージするかが大きなテーマでして,それでも外力については,作用している点に荷重計をつけて測定することができますし,力をベクトルで表現することもできます。問題は内力です。内力は直接に測定することはできません。では内力の存在が何でわかるかというと,変形でわかります。力をかけない状態のバネの長さがわかっているとして,長くなっていれば引っ張り力を作用させていることがわかりますし,短くなっていれば圧縮の力を作用させていることがわかります。その時バネは,伸ばされている内力,縮められている内力が生じていることになります。
内力という概念が構造力学で必要とされるのは,構造体内部の力の均衡を考えなければいけないからです。構造体全体として力の均衡が取れていることは外力だけでできますが,構造体のそれぞれの部分も力が均衡していなければいけないのでその時に必要なのが内力です。
内力には2種類あります。構造体の伸び縮みによって生じる力と,せん断変形によって生じるせん断力です。せん断力については「せん断応力(wikipedia)」でどうぞ。「せん断応力」となっているのは,単位面積あたりに換算するのが通常ですのでそのように書いているものです。「せん断力」と「せん断応力」の違いについては,ここではあまり深く考えないでください。
実は内力には3種類あります。なんて書いたら混乱しますね。基本は,伸び縮みの力とせん断力の2種類なのですが,構造体をどうモデル化するかによって内力の種類は増えるのです。建築分野では構造体を梁柱材にモデル化することが多いです。その梁柱材の内力としては,曲げモーメントが加わります。梁柱材の3つの内力である軸方向力,せん断力,曲げモーメントを総称して「断面力」と言います。断面力については「断面力(wikipedia)」で用語の意味は解説されています。もっと詳しくは,「静定力学講座・断面力の計算(近畿大学工学部)」がわかりやすいです。
3種類目の内力があるなら4種類目もあるのか。あるんですこれが。梁柱材の材軸ねじりです。
備考:内力で重要なのは,内力を単位面積当たりの力に変えたものを応力と言いますが,応力が構造体の安全性を判定する手法として使われることです。
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このページの公開年月日:2015年5月10日