Ⅲ 構造の仕様書的規定
建物としての構造を成り立たせるため,もしくは,判定手法の判定を成り立たせるためのルールがあります。「構造の仕様書的規定」といいます。
仕様書的規定はなぜ必要なのか。
例えば,構造設計の判定手法の数値比較上であれば強度の低いコンクリートで設計しても弱いコンクリートに作用する応力がさらに小さければ判定上はOKになります。でも強度の低いコンクリートは別の問題を抱えていますから,コンクリート強度は18N/mm2以上と定められています。
構造の仕様書的規定として代表的なものが,木造軸組み工法の壁量規定です。木造軸組み工法の柱の小径もそうです。以下に,構造の仕様書的規定を思いつくままに並べてみます。
<木造軸組み壁工法>
- 壁量
- 柱の小径
<鉄筋コンクリート造>
- 柱の主筋は4本以上で0.8%以上
- 梁の長期荷重時に引張となる主筋は0.4%以上
- 柱・梁のせん断補強筋比は0.2%以上
<鉄骨造>
- 溶接部の強度は母材同等以上
- 露出柱脚のアンカーボルト断面積はその柱の鋼材の断面積の20%以上
など
上記にいくつかの例をあげてみましたが,仕様書的規定はたくさんあります。しかも,絶対に守らなければいけないものと,別の構造検討をして安全性を証明すれば外せるものとにわかれます。このあたりが,難しいところです。
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<構造設計の関連情報>
Ⅰ 構造力学
〈構造力学(法則・基本的な考え方)〉
〈構造力学(解法1)〉
〈構造力学(解法2)〉
〈トラス構造解法の補足〉
〈CM0Q算出の仕組み〉
〈梁理論の補足〉
Ⅱ 構造躯体として使われる材料の特性
〈材料力学〉 〈種々の構造材料の品質等〉
〈構造材料の許容応力度等〉
〈コンクリートの許容応力度等〉
〈鉄筋の許容応力度等〉
〈鋼材(炭素鋼)の許容応力度等〉
〈高力ボルトの許容応力度等〉
〈あと施工アンカー1本あたりの許容耐力など(H13告示第1024号による)〉
〈形によって決まる許容応力度〉
〈構造の仕様書的規定〉
Ⅳ 建築構造安全性判定手法
〈建築構造安全性判定手法〉
〈構造体をモデル化する手法〉
〈構造解析で算出された存在応力を割り増しするルール〉
〈既存建物の耐震診断と耐震改修〉
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このページの公開年月日:2015年6月7日