ボルト・高力ボルト・アンカーボルト

<ボルト・高力ボルト・アンカーボルト>

ボルト〉と〈高力ボルト〉と〈アンカーボルト〉の品質について解説します。
ボルト類の品質を考える上で,共通事項として,把握しなければならない事項は,

  1. ボルトを作る鋼材の素材自体の品質
  2. ネジ部の有効断面がいくらか
  3. ネジの有効断面積とネジを作らなかった軸部の断面積の関係

の3つでしょう。

1.については,ボルト,高力ボルト,アンカーボルトのそれぞれで鋼材の素材が違います。高力ボルトは,引張強さが1000N/mm2以上で,一般構造用鋼材SS400の引張強さが400ですから,高力ボルトは相当強靭な鋼材です。

2.については,ネジ部の太さの表示である「M○○」によって決まります。例えば「M16」とは「メートルネジの太さが直径16㎜」という意味で,ここで言う直径とは,ネジの山から山までの寸法のことです。M16の有効断面積は,直径16㎜の円の面積(8×8×3.14=201mm2)よりも小さくて,157mm2(並目ネジ)ですから20%以上欠損しています。有効断面積は並目ネジが細目ネジかによっても異なります。
ボルトの呼び径と有効断面積

3.については,切削でネジを作ったか,転造でネジを作ったかによって異なります。16φの丸鋼を切削してM16のネジを作った場合は2.で計算したように軸部の断面積が201mm2でネジ部の有効断面積が157mm2です。一方,転造ネジの場合は,16φよりも細い棒鋼を使ってネジ部の山を盛り上げて作りますから,軸部の断面積が少し小さくなります。とはいえ,ネジ部の有効断面積よりも軸部の断面積が小さくなるわけではありません。

ボルト,高力ボルト,アンカーボルトのそれぞれを解説します。
ボルト〉〈高力ボルト〉〈アンカーボルト

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ネジ部の有効断面積とは?

ねじの切ってある谷底から谷底までの直径に相当する面積が有効断面積なのだろうと想像しますが違います。それよりもう少し大きいです。「高力ボルト協会の解説」がわかりやすいです。

高力ボルトはボルトに含まれる?

「ボルト」の集合の中に「高力ボルト」と「中ボルト」が含まれるのだと思われがちですが,基準法上もJIS上も「ボルト」と「高力ボルト」は別の用語として用いられています。「ボルト」は一般的には「中ボルト」「普通ボルト」と言われますが「ボルト」が正式名称です。したがって,「高力ボルトと中ボルトを包括する用語としてボルトがあるのではありません」。

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このページの公開年月日:2015年8月10日