旧規格F11Tと遅れ破壊

<旧規格F11Tと遅れ破壊>

高力ボルトと言えば,通常はF10Tを指しますが,古い規格で「F11T」がありました。「F11T」は「遅れ破壊が生じる」ことの問題から1981年に製造中止されたので,それ以後の建物には使われていません。

写真は,高力ボルトのF11Tが使われた鉄骨建物の事例です。

f11t

F11Tの高力ボルトが切れて飛んで行ってはいけないので,籠がつけてあります。下フランジの奥側の一列とウエブに籠がしてありますが,下フランジの手前の一列には籠がありません。籠のないところのボルトは交換可能ですからその高力ボルトは交換したのだと思われます。

「遅れ破壊」→「大きな力が作用したわけでもないのに突然に切れてしまう」と聞けば,そのボルトをそのままにしておいてもいいのだろうかと思ってしまいます。でも,写真に見るように仕上げ材に隠れて交換できないところは交換しないままになっています。遅れ破壊は,全部の高力ボルトに生じるものではなく,小さい確率であるため構造体全体に影響を及ぼすほどのものではないと考えているのだと思います。

F11Tの生産は1981年に停止されましたが,その後もJIS規格の中には残り続けていました。消えたのは2013年の改定時です。

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このページの公開年月日:2012年6月