<コンクリートの強度以外の品質>
コンクリートの品質としてもっとも大切なのが強度ですが,強度以外にも品質として注意しておかねばならないものがあります。
スランプ,空気量などです。
<スランプ>
生コンの品質のひとつである「スランプ」は,生コンの柔らかさを示す指標です。柔らかい方が打設しやすいですから,柔らかい方がいいように思えますが,柔らかいものは型枠に流し込んだ時に分離しやすいので,施工にあたっては柔らかさの上限を定めています。国の標準仕様書(6.2.3)で基礎部は15㎝,上部構造は18㎝と規定しています。荷卸し地点でスランプを測定して合否判定をする許容差は,JISA5308で±2.5㎝(スランプ18㎝の場合)と規定されています。
スランプの数値は,報告書に記されて報告されます。建築士は,JISA5308で規定する許容差内に収まっていることを確認することが役割であり,スランプの測定方法まで知っておく必要はないのですけど,正しく測定されたかどうの判断も建築士の知識範囲と思います。
<スランプの測定方法>
スランプの測定方法は,JISA5308に「JISA1101による」と規定されています。JISA1101では,高さ30㎝の円筒状の容器に3回にわけて生コンを入れて,容器を抜き取った時に高さ30㎝のコンクリートの山がどれだけ下がったかを測定する。それがスランプであることが規定されています。JISA1101では,生コンを入れた時につき固める突き棒の形状やつく回数,測定単位が0.5㎝であることなどが規定されています。
スランプの測定方法は,JISA1101に規定されていますから,これで充分と思えなくもないですが,実際にこの試験をしようとするともっと詳しいものが必要です。具体の試験方法を規定しているのは,全国生コンクリート工業組合連合会で「JISA1101コンクリートのスランプ試験方法におけるスランプ測定の仕方」(ZKT201)です。
上記資料は,この協会の会員向けのものであり,ネット上では閲覧できません。
JISA1101には,
「各層は,突き棒でならした後,25回一様に突く。この割合で突いて材料の分離を生じるおそれのあるときは,分離を生じない程度に突き数を減らす。」
と規定しています。
一方,生コン連合会のZKT201では,
「例えば,スランプ21㎝程度のコンクリートを突く場合に,突き数が多いと粗骨材が沈むなど分離傾向にある場合,突き数を10~15回程度にとどめる。」
と規定しています。
建築の場合は,スランプが15㎝か18㎝ですから,JISの規定通りに25回突くのは多いのだと思います。ならば,15回にするのか,20回にするのか,これ以上は,私が知ることはできませんでした。ただ,JISA1101までを知っている建築士がスランプ試験の現場に立ち会って,15回ずつしか突かなかった生コン担当者に「この試験は間違っている。25回突け」と命令してはいけません。
スランプ試験の突き回数だけでも,深い議論があるのだということを,我々建築士は知っておくべきです。
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鉄筋コンクリート基礎構造部材の耐震設計指針(案)・同解説
↑2018年の最新版です。
このページの公開年月日:2013年6月