現場で鉄筋径を判別する方法

<現場で鉄筋径を判別する方法>

現場に組み立てられた鉄筋の径がいくらであるかを確かめることは,実は難しいことです。D19の異形棒鋼は,「直径19mm」に相当するという意味ですが,公称直径は19.1mmでD19の節の外側と外側を測っても,節のない部分を測っても19.1mmのところはありません。

<メーカー各社の鉄筋表面の浮彫>

鉄筋表面の浮彫で種類の記号(SD295A,SD345など)がわかるように表示することはJISG3112で定められていますから,どこの社の異形棒鋼を見てもそれがわかるようになっています。でも鉄筋径は表示するようには定められていませんから,表示されている社とない社があります。
例えば,ダイワスチール(2012年4月からJFE条鋼㈱)が製造した鉄筋であれば圧延の段階で記号が浮き彫りされますから,径も種類の記号(SD295など)もわかるようになっています。

<鉄筋径を浮彫で表示しているメーカー>

JFE条鋼㈱」 「共英製鋼㈱」 「大阪製鐵㈱」 「合同製鐵㈱

<鉄筋径を浮彫で表示していないメーカー>

東京製鐵㈱」 「中国製鋼㈱

<現場で鉄筋径を判別する方法>

ダイワスチール(2012年4月からJFE条鋼㈱)のように鉄筋径が表面に浮彫されている鉄筋ならば鉄筋径がわかりますが,東京製鐵などでは径は浮彫されていませんから,直接に径を見ることができません。

現場で鉄筋径を特定するには,次のようにします。

①まず,節を15個数えて,1番目から15番目までの距離(節と節の一つ分の間隔の14倍)をスケールで計る(単位は㎜)。

②次に,その距離を10で割る。

③その数字が呼び径に近似されている。

例:14個分の節の間隔を計ったら280㎜だった場合,10で割ると28㎜になるので,最も近い「D29」となる。28mmよりも大きい方になる。28はD25とD29の間だが,28より小さいD25にはならない。

上記の方法は,私のオリジナルです。2013年1月時点で,書籍の中にもHPにも私が探した限りでは,こうした方法で径を特定できることを記したものはありません。

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上の写真では,14個分の節の長さが約150mmですから,10で割って15。したがって,D16であることがわかります。「15」のまわりには,D13とD16がありますが,15より小さい方にはなりません。

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リブと節
異形棒鋼は表面に突起が作られています。突起の部分を「リブ」「節」といいます。「リブ」と「節」の違いは,
リブ:軸方向の連続した突起
節:軸方向以外の突起
です。(JISG3112の7.2.1a)より)

メーカーの合併
JFE条鋼㈱は,2012年4月1日にダイワスチールと東北スチール㈱と豊平製鋼㈱と合併した。

左で鉄筋径が判別できる理由
節と節の間隔は,JISG3112で「公称直径の70%以内」と定められています。例えば,D29の場合,公称直径=28.6mmで節の間隔はその70%だから20.0mmです。節の間隔を14個分計って10で割るということは,節の間隔を1.4倍していることになります。1.4は70%の逆数(1/0.7=1.43)に近似していますから,70%で割り戻したのと同じです。このため,鉄筋径が近似的に読み取れるのです。節の間隔は「70%以内」と定められていますから,計算された数値以上の径であることがわかるだけですが,どの鉄筋もぎりぎりで製造されていますから,近似できるのです。

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このページの公開年月日:2013年2月