<亜鉛めっき>
鋼材の表面にする亜鉛めっきの品質について解説します。
「鉄はさびる」ので表面に何らかのさび止めが必要です。鋼材の表面にするさび止めのひとつが亜鉛めっきです。建築分野では「溶融亜鉛めっき」が用いられることが多く,さび止め効果が絶大です。「溶融亜鉛めっき」とは,高温で亜鉛を液体にした中に鋼材をしずめてその表面に亜鉛の薄い膜を作ることで鋼材を保護するもので,その品質は,JISH8641で規定されています。
国の標準仕様書では,A種,B種,C種の3種類に分かれていて,それは,JISH8641の記号では,HDZ55,HDZ45,HDZ35にあたります。A種(HDZ55)の方が塗厚の厚いものです。
A~C種のどれを適用するかは,国の標準仕様書では,構造材については「原則A種」となっていますから,建築分野では通常は最も塗厚の厚いA種を使うことになります(標準仕様書7.12.2)。ただし,それは,鋼材の板厚が6㎜以上の場合であって,板厚が薄いものに厚い亜鉛めっきはできませんので,板厚に応じて,B種,C種を適用するようになっています(標準仕様書14.2.3)。
溶融亜鉛めっきの種別と記号と適用できる鋼材の厚さと亜鉛めっきの塗厚などの関係は次の通りです。
標準仕様書上の種別 | JISH8641上の記号 | 適用できる鋼材の厚さ | 亜鉛の付着量 | 平均めっき膜厚 |
A種 | HDZ55 | 6㎜以上 | 550g/㎡以上 | 76μm以上 |
B種 | HDZ45 | 3.2㎜以上 | 450g/㎡以上 | 63μm以上 |
C種 | HDZ35 | 1.6㎜以上 | 350g/㎡以上 | 49μm以上 |
ボルトやナットやアンカーボルトに溶融亜鉛めっきをする場合は,C種を適用します(標準仕様書7.12.3)。
仕上げ材である鋼材に亜鉛めっきする時には,A種からF種までの選択肢があって,どれを適用するかの原則は定められていませんから,特記仕様書で設計者が指定することになります(標準仕様書12.2.3)。A種からC種は,上記で解説した溶融亜鉛めっきですが,D種からF種は電気亜鉛めっきです。電気亜鉛めっきは,JISH8610で規定されています。
標準仕様書上の種別とJIS上での記号の関係は,次のとおりです。
標準仕様書上の種別 | JISH8610上の等級 | めっきの最小厚さ |
D種 | 5級 | 20μm |
E種 | 4級 | 12μm |
F種 | 3級 | 8μm |
[cwpshiage1]
<参考>
- 「μm」とは,1mの10-6で,1㎜の1/1000です。
- 亜鉛の比重は7.14ですから,450gの亜鉛は,63cm3であり,これを1㎡に広げるとその厚さは0.063mmになります。
[cshiagelink]
[cwpshiage2]
このページの公開年月日:2012年6月