タイルの目地の仕様

<3.タイルの目地の仕様>

タイルは並べて貼りますから,タイルとタイルの間に隙間ができます。これを「目地」と言います。

高級なタイルを使っていても「目地」がきちんと施工されていないと台無しになります。目地の間隔がそろっていて,縦横の線が直線になっていることが,見栄えに直接影響します。また,そうした見栄えの問題だけでなく,目地はタイルの耐久性に大きく影響します。

まず,目地の種類。公共建築工事標準仕様書では,3つ,紹介されています。

  1. ひび割れ誘発目地
  2. 伸縮調整目地
  3. 化粧目地

1.と2.は,標準仕様書の11.1.3で記述され,3.化粧目地は11.2.3と11.3.2で記述されています。標準仕様書上で1.2.3.がどういうものであるかは解説されていませんので,ここで解説しますと,3.の「化粧目地」は,1.2.以外の目地でタイルの隙間をモルタルでつぶす普通の目地です。「化粧」という用語は「下地」に対するものですが,「化粧目地」に対する「下地目地」があるわけではありません。1.2.と区別するために「化粧目地」と言っているだけです。

次に1.と2.は,温度変化や地震の外力によって生じる変形を吸収するために設けるものです。標準仕様書上では,1.のひび割れ誘発目地と②の伸縮調整目地が何であるかを規定していませんからわかりにくいのですが,監理指針には,「ひび割れ誘発目地」は躯体に生じるひび割れを誘導するために躯体に設けたひび割れ誘発目地に設けるタイルの目地であることが説明されています。

次に,1.2.がどんな形状なのかも標準仕様書には規定されていませんから,これも監理指針を見ます。監理指針では,図で紹介してあります。ただ,1.と2.を区別することなく図面化していますので違いがわかりません。標準仕様書も監理指針も,1.と2.をあまり明確に区分する必要がないという思想を持っているように見受けられます。私の感覚であえて区別すると,躯体に目地を入れたところにタイルの目地を設けるものが「ひび割れ誘発目地」で,躯体には目地がなくて下地モルタルとタイルで目地を作ったところが「伸縮調整目地」なのだと思っています。

そして,1.2.は,柱形の両端や3~4mごとに設けることが標準仕様書で規定してあります。

次に3.の化粧目地は標準仕様書の11.2.3と11.3.2で記述されています。細骨材の最大粒径やセメントの配合比率が規定されています。

化粧目地の幅は,どのようになっているのでしょうか。

実はタイルのカタログに,そのタイルに推奨する目地幅が記載されていますから,そのとおりにすればいい,というのが,最も簡単な答えです。また,ユニットタイルでは,目地幅を想定してタイルが並べて貼り付けてありますから,目地幅を変えることすらできません。

というような,与えられた答えではなく,どんなルールで目地幅が決められているのかを考えてみます。

まず,国の標準仕様書には,目地幅をいくらにするかの規定はありません。

監理指針では,規定しているわけではありませんが,目地幅を紹介しています。

外壁の小口,二丁掛け:6~11mm

内壁:2~2.5mm

大型床タイル:5~10mm

また,カタログで実際の目地幅を見ると,

内壁:2.5mm

風呂の床(50角,100角):3.5mm

風呂の床(200角):6mm

内部の床(100角):6mm

外部の壁(50二丁):5mm

外部の壁(二丁掛け):7mm

外部の床:8mm

というような数字が出てきます。目地の幅がどのようにして決まっているかは私は知らないのですが,傾向としては,外部の方が広く,大きなタイルの方が広くしてあります。目地は,タイルの変化を吸収する役割をしていますから,温度変化の大きい外部は目地を広く取るのだと思います。

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「メヂ」か「メチ」か

「目地」を「メヂ」と読むのか「メチ」と読むのか。標準仕様書も監理指針も振り仮名は振ってありませんから読み方は明らかでありません。私の経験上,現場では「メチ」と言う人が多いです。

「打ち継ぎ目地」はどうなった?

タイルの目地の種類に「打ち継ぎ目地」がありませんから「打ち継ぎ目地はどうなったんだ」と言いたくなりますが,標準仕様書では躯体の打ち継ぎ目地に設けるタイルの目地をひび割れ誘発目地と呼んでいます。

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このページの公開年月日:2013年5月6日