<測量>
測量はその専門の技術者がいますから,建築士が測量をすることは基本的にはありません。建築士は測量で作られた敷地図でもって設計を進めていくものなのですが,設計の依頼を受けて「この土地で事務所を設計してくれ」と言われても,測量図を建築主がもっているわけではありませんから,まずは「測量をして,敷地の大きさや形,土地の高低差,周囲の道路の状況を把握しましょう。」となります。敷地の正確な大きさがわからなければ設計がスタートできないからです。このため,測量を依頼するという意味で,多少の測量の知識が必要になります。
測量のことならば,「測量法」の第34条を根拠として「作業規定の準則」(平成25年3月改正)を定めていて,「基準点測量」や「地形測量」などの用語を示すとともに,作業方法や精度を規定していますから測量の全体像が見えます。これによれば,
基準点測量:既知点に基づき,基準点の位置または標高を定める作業
基準点測量の基準点測量:既知点に基づき,新点である基準点の位置を定める作業
基準点測量の水準測量:既知点に基づき,新点である水準点の標高を定める作業
基準点測量の復旧測量:公共測量によって設置した基準点及び水準点の機能を維持するとともに保全するために実施する作業
地形測量及び写真測量:数値地形図データ等を作成及び修正する作業をいい,地図編集を含むもの
地形測量及び写真測量の現地測量:現地においてTS等またはGNSS測量機を用いて,または併用して地形,地物等を測定し,数値地形図データを作成する作業
地形測量及び写真測量の空中写真測量:空中写真を用いて数値地形図データを作成する作業
応用測量:道路,河川,公園等の計画,調査,実施設計,用地取得,管理等に用いられる測量
応用測量の路線測量:線状築造物建設のための調査,計画,実施設計等に用いられる測量
応用測量の河川測量:河川,海岸等の調査及び河川の維持管理等に用いる測量
応用測量の用地測量:土地及び境界等について調査し,用地取得等に必要な資料及び図面を作成する作業
と定義されています。測量をしてもらうにしてもその用語がわかっていないと測量する人と話もできませんから上記は参考になるはずです。
「作業規定の準則」は,測量法の適用がある場合の測量のことを規定したものでして,設計しようとする敷地の大きさと周辺を含む地形の高低差を測定する程度の測量は,必ずしも測量法の適用を受けるわけではありません。
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<こぼれ話>
小さな敷地で,あまり高低差がなければ建築士が自分で測量する人もいます。
このページの公開年月日:2012年9月