数量積算の注意点

<数量積算の注意点(公共建築数量積算基準の解説)>

数量積算は,「公共建築数量積算基準H29」によって行います。この積算基準では,数量の計上の方法が細かく定められています。例えば,コンクリートを計上する時に,基礎,基礎梁,柱,梁,床,壁に分けて計上していきますが,基礎とはどこまでをさすのかを規定しています。また,コンクリート内には鉄筋が入りますから実際には鉄筋の体積分のコンクリートは必要ありませんが,鉄筋の体積を控除しないことが規定されている一方で,鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は,鉄骨分の体積を控除すべきことが規定されています。

工事費を算出するための基礎数値の算出ですから,間違いは許されませんし会計検査の対象にもなります。基準の中で,重要なことや間違いやすいことをまとめました。

参考:「平成29年の改定内容

<単位や有効桁数>

  • 長さ,面積,体積,質量の単位は,m,㎡,m3,トンである。
  • 端数処理は,四捨五入である。
  • 計測寸法の単位はmであり,小数点以下第2位である。ただし,コンクリートだけは例外で小数点以下第3位。
  • 積算の結果として内訳書に入れる数値は,小数点以下第1位である。ただし,100以上の場合は整数。

<コンクリート>

  • 壁に窓がある場合のコンクリートの控除は,開口部の内法寸法で行う。内法寸法の外側にはサッシ枠があり,その外側には取付けのための盗みを取るが,数量積算上はその部分にもコンクリートがあるものとして計上したことになる。
  • 壁に窓がある場合,開口面積が0.5㎡以下の場合は控除しない。

<型枠>

  • 柱の型枠は,柱の上部にスラブがついているからスラブ分の型枠は不要だが,スラブ分の型枠を控除しない。(公共建築数量積算基準の第4編躯体第2章コンクリート部材第2節コンクリート部材の計測計算2各部の計測計算(2)柱2)で接続部の控除の扱いが「1通則(2)2」」であると記載され,(2)2)を見ると,梁はスラブ分を控除することが規定されているが,柱は規定されていない。)
  • 梁が柱に取りついている部分の柱の型枠は,梁がついている分だけ少ないことになるが,その面積が1㎡以下であれば控除しない。
  • 壁に開口部がある場合,開口部の内法寸法で控除する。ただし,開口面積が0.5㎡以下の場合は控除しない。
  • 壁に開口部があって開口部の型枠を控除した場合でも,開口部4周の壁厚にある型枠は計上しない。(公共建築数量積算基準の第4編躯体第2章コンクリート部材第2節コンクリート部材の計測計算1通則(2)型枠3)による)

<直接仮設・足場>

  • 外部の枠組み本足場は,外壁から1m離れた線にあるものとする。構築物の上部までの高さとする。(公共建築数量積算基準の第2編仮設第1章仮設2(3)による)枠組み本足場は,長さは1.8m,高さは1.7mと規格化されたものだが,規格寸法にはかかわらず,建物の実寸法で積算する。
  • 枠組み本足場の幅は,600,900,1200の3種類がある。600を選ぶのは平屋建ての場合のみであり,2階建て以上は900を選ぶ。1200を選ぶのは,6階建て以上で外壁がタイル張りの場合である。(公共建築工事の積算基準の解説による)

枠組み本足場の積算は,そういうルールで積算する,というだけであって,実際の工事で積算と異なる足場で施工したからとしても通常,問題となることはない。これは,指定仮設か任意仮設かという問題で,通常は足場は任意仮設とするため,積算で想定した足場とは異なる足場で施工したとしても契約違反ではない。

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積算に必要な書籍

「公共建築工事積算基準」(国土交通省大臣官房営繕部監修平成27年版)

「公共建築工事積算基準の解説」(同営繕部監修平成27年版)

「工事歩掛要覧」(経済調査会積算研究会編)

チェックマニュアル

積算はとても地道な作業で,しかも漏れや間違いがあってはいけませんからそれを防ぐ目的でチェックマニュアルが公開されています。「営繕工事費積算チェックマニュアル(平成29年)

積算数量と実数量

公共建築数量積算基準H29」は,そういうルールで計上しましょうと規定しているだけで,実際の施工数量とは若干ずれます。これに対して施工者が行う積算は,例えば仕上げ材の石膏ボードであれば,「何㎡必要か」を求めるのではなく,壁の形で切り無駄まで考慮して「何枚必要か」を求めます。

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このページの公開年月日:2012年5月27日