構造規定の見直し(2015年6月施行)

<構造規定の見直し(2015年6月施行)>

2015年6月施行の基準法改正では,構造適合性判定が確認申請とは切り離されたこと,ルート2の審査が建築主事でも行えるようになったことで事実上ルート2の構造適合性判定が不要になったことなど,手続き上の変更が注目されていますが,これとともに,法第20条の構造規定が改正されています。

改正項目は次の通りです。

① 鉄筋コンクリート造のルート2-3を廃止

② エキスパンションジョイントで切り離されたものの取り扱いの変更

<①鉄筋コンクリート造のルート2-3を廃止>

鉄筋コンクリート造のルート2-3が具体にどういう問題があったのかは私は知りませんが,あまり使われない基準ではありました。廃止されています。S55告示第1791号の第3第三号が削除されました。

<②エキスパンションジョイントで切り離されたものの取り扱いの変更>

エキスパンションジョイントで構造分離された建築物の構造関係規定(法第20条を頂点とする規定)の取り扱いは,これまでは,政令第81条第4項で規定していました。

【改正前】

政令第81条第4項  二以上の部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している建築物の当該建築物の部分は,前三項の規定の適用については,それぞれ別の建築物とみなす。

これは,法第20条の第2号イを使うか,第3号イを使うかを確定した後に「それぞれ別の建築物とみなす」としているのですから,建物規模から法第20条第2号イとなった建築物が実はEXP.Jで構造分離されていてひとつひとつは小規模なものであったとしても,選択できるのは施行令第81条第2項の中だけでした。これでは不合理なので,H20告示第37号で少なくともひとつは第2号イを適用して,それ以外は規模に応じて選択できるように規定していました。

改正後は,EXP.Jの規定を法第20条第2項で規定しました。

【改正後】

法第20条第2項  前項に規定する基準の適用上一の建築物であっても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分が二以上ある建築物の当該建築物の部分は,同項の規定の適用については,それぞれ別の建築物とみなす。

政令第36条の4  法第20条第2項(法第88条第1項において準用する場合を含む。)の政令で定める部分は,建築物の2以上の部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している場合における当該建築物の部分とする。

このことによって,法第20条第1項の各号の選択にあたって,EXP.Jで分離されていることを考慮できるようになりました。

この結果,EXP.Jで分離された建築物のそれぞれの規模に応じて,小規模な部分はルート1,本体部分はルート3のように別々のルートを選ぶことができるようになりました。(改正前も,H20告示第37号と第38号で別々のルートを選ぶことは可能ではあった)

【注意】EXP.Jの扱いが20条で規定されたのですから,その取り扱いを受けるのは法第20条以下です。法第6条の第2号,第3号,第4号の選択には影響しないことに注意してください。
例えば,平屋で300㎡の鉄筋コンクリート造建築物を,中央でEXP.Jで分離して150㎡の2つの部分に分離したとしても,その建物が法第6条第3号であることに変わりなく,法第6条第3号は,法第20条の第1号から第3号の中から選択することになるので,構造計算が免除されることはありません。

上記の「法第6条第3号ものはEXP.Jで分離して小規模な部分になっても構造計算は必要」との考え方は,あくまでも個人の見解です。

改正時の国土交通省の改正の「パンフレット」の2ページ目の図解に構造計算不要であることが示されています。図解の上にある説明書き「当該部分ごとに構造計算適合性判定の対象や法第20条第1項第1号の大臣認定の要否を判断することが可能になりました」は異論ありません。図解の中にEXP.Jで分離された平屋の部分に「法第20条第1項第4号を適用」と書いてあります。

私は,これは間違いのように思えてしまいます。

図の建物は,法第6条第1項第3号建築物です。EXP.Jの扱いは法第20条第2項で「同項の規定の適用にあっては,それぞれ別の建築物とみなす」とあるのですから,法第6条第1項の第1号から第4号を選択するにあたって,EXP.Jの存在は考慮されません。

次に,第20条を見ます。第2項が存在しますから,EXP.Jで分離されたものをそれぞれで第20条第1項の第1号から第4号にあてはめます。図の高層建物は60mを超えていますから第1号になります。EXP.Jで分離された小規模な部分は,法第6条第1項第3号建築物ですから,法第20条第1項第3号(または第2号)を選ぶことになります。第4号を選ぶことはできません。したがって,構造計算は必要です。

繰り返しますが,個人的見解です。

普通に考えても,合計して規模が大きければ構造計算で安全性を評価すべきですし,特に,パンフレットの図にあるのは,片方が高層建物なのですから,いくらEXP.Jで分離したとはいえ,その足元にある付属建築物を構造計算することなく設計を終えてしまう設計者は存在しないものと思います。


エキスパンションジョイント条文の法第20条第2項移動に伴う条文整理





エキスパンションジョイント条文の法第20条第2項移動に伴う条文整理

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このページの公開年月日:2016年3月21日