構造設計一級建築士,設備設計一級建築士でなければできない業務

<構造設計一級建築士,設備設計一級建築士でなければできない業務>

一級建築士の業務独占(規模によって建築士でなければ設計などをすることができない)の規定は,建築士法第3条で規定されていますからわかり安いのですが,構造設計一級建築士の業務独占を規定した条文がとても分かりずらいので解説します。

まず,どのような設計行為が構造設計一級建築士の業務独占になっているのかの答えから書きます。

<構造設計一級建築士の業務独占>
一級建築士でしか設計できない規模の建築物のうち建築基準法第20条第1項第1号または第2号に掲げる建築物に該当するものの構造設計
(構造設計一級建築士でない一級建築士が構造設計することは認められているが,その場合は,構造設計一級建築士による適合確認が必要になる。)

業務独占となる具体の建築物の規模は,基準法第20条第1項第1号または第2号ですから,

第1号  高さ60mを超える建築物

第2号  第6条第1項第2号に掲げる建築物(高さが13mまたは軒の高さが9mを超えるものに限る。)または同項第3号に掲げる建築物(地階を除く階数が4以上である鉄骨造の建築物,高さが20mを終える鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物に限る。)

政令第36条の2

第1号  地階を除く階数が4以上である組積造又は補強コンクリートブロック造の建築物

第2号  地階を除く階数が3以下である鉄骨造の建築物であつて、高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの

第3号  鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造とを併用する建築物であつて、高さが20mを超えるもの

第4号  木造,組積造,補強コンクリートブロック造若しくは鉄骨造のうち二以上の構造を併用する建築物又はこれらの構造のうち一以上の構造と鉄筋コンクリート造若しくは鉄骨鉄筋コンクリート造とを併用する建築物であつて,次のイ又はロのいずれかに該当するもの
イ  地階を除く階数が4以上である建築物
ロ  高さが13m又は軒の高さが9mを超える建築物

第5号  前各号に掲げるもののほか,その安全性を確かめるために地震力によって地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することが必要であるものとして,構造又は規模を限って国土交通大臣が指定する建築物

これらは,いわゆるルート2・ルート3の構造計算を必要とするものです。

<業務独占を与える条文の読み方>

次に,上記のように業務独占を与えた条文を見ていきましょう。

建築士法第20条の2第1項がそれなのですが,

士法第20条の2第1項  構造設計一級建築士は,~~に該当するものの構造設計を行った場合においては,~~,その構造設計図書に構造設計一級建築士である旨の表示をしなければならない。

と,表示義務を定めているだけです。この規定に,建築基準法第5項の6第2項と同法第6条第3項を組み合わせることで,

法第5条の6第2項  ~構造設計図書による建築士法第20条の2第1項の建築物の工事は,構造設計一級建築士の構造設計によらなければ,することができない。

法第6条第3項  建築主事は,第一項の申請書が提出された場合において,その計画が次の各号のいずれかに該当するときは,当該申請書を受理することができない。

二  構造設計一級建築士以外の一級建築士が建築士法第20条の2第1項の建築物の構造設計を行った場合において,当該建築物が構造関係規定に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計によるものでないとき。

構造設計一級建築士でないものが設計したものでは確認申請が受理されませんし,工事を行うこともできません。建築士法第20条の2第1項と建築基準法第5条の6第2項と同法第6条第3項を組み合わせることで構造設計一級建築士の業務独占が与えられるようになっています。

参考〈構造設計一級建築士でなければできない業務「事例検討」

<設備設計一級建築士の業務独占>

設備設計一級建築士の業務独占は,法第20条の3第1項に

法第20条の3第1項  設備設計一級建築士は,階数が3以上で床面積の合計が5000㎡を超える建築物の設備設計を行った場合においては,

と規定されています。

設備設計の業務独占の範囲を読み解くにあたって必要な「設備設計」「設備設計図書」「設備関係規定」の用語の定義は,

設備設計:建築基準法第2条第3号に規定する建築設備の各階平面図及び構造詳細図その他の建築設備に関する設計図書で国土交通省令で定めるものの設計(法第2条第7項)

設備設計図書:建築基準法第2条第3号に規定する建築設備の各階平面図及び構造詳細図その他の建築設備に関する設計図書で国土交通省令で定めるもの(法第2条第7項)

設備関係規定:建築基準法第28条第3項,第28条の2第三号(換気設備に係る部分に限る。)、第32条から第34条まで,第35条(消火栓,スプリンクラー,貯水槽その他の消火設備,排煙設備及び非常用の照明装置に係る部分に限る。)及び第36条(消火設備,避雷設備及び給水,排水その他の配管設備の設置及び構造並びに煙突及び昇降機の構造に係る部分に限る。)の規定並びにこれらに基づく命令の規定(法第20条の3第2項)

となっています。

業務独占を与える法文の読み方は,構造設計のものと同様です。

関連情報
法律一覧
法律の読み方・原則
建築基準法等の個人的な解説
建築基準法の解釈と解説(外部リンク)
手続き関係
各種設計規準

構造設計一級建築士制度制定の背景

平成17年11月に発表された構造計算書偽装事件の再発防止の方策として出されたもののひとつが構造設計一級建築士です。

ルート3で設計したら構造設計一級建築士が必要か

ルート3(またはルート2)で設計するには必ず構造設計一級建築士の資格が必要なのかと言えば,そうではありません。「一級建築士でしか設計できない建築物のうち」という条件がありますから,例えば,RC造3階建て290㎡最高高さ12.9m軒高8.9mの事務所を壁量が足りないからルート3で設計するのは,そもそも二級建築士で設計できる建物ですから,構造設計一級建築士は必要ありません。

また,ルート1で設計できるものをルート3で設計したとしても,ルート1で設計できる条件の範囲内であることを示した上であれば,構造設計一級建築士は必要ありません。(その設計はルート1の部分だけで法に適合しているからです)

構造設計一級建築士の制度化年月日

制度のスタートは,平成20年11月28日からで,平成21年5月27日以降に提出する確認申請から義務付けられました。ただ,同年11月27日までは移行期間として5月27日以前に設計したものについては免除されていました。

このページの公開年月日:2018年5月2日