<建設業法は現場での作業に対して適用される>
建設業法を適用するうえでの一般原則があります。
「建設業法は現場での作業に対して適用される」
これは,ネット上で入手できる公式の解説などでは(2014年6月時点で)私の知るかぎり入手できないものです。法令上にも明文化されていません。でも,常識として認知されているようです。法適用の前提条件とされているのだと思います。
例えば,鉄骨工事では,鋼材のH型鋼を鉄骨工場で切断・穴あけ・溶接組立などを行って,それを現場に搬入して建て方をして柱梁の建物としての構造体を作っていきます。この時,鉄骨工場が工場内で加工組み立てだけを行うのであれば建設業法の許可を必要としません。建設業法適用の原則に,その現場で行われるものに限る,というのがあります。工場で行うものは「製品づくり」であって,その製品を現場に持ち込んで現場で組み立てる作業に建設業法が適用されます。アルミサッシを例にすると,工場でアルミサッシを作るのは「製品づくり」であり,現場に搬入されたサッシを取り付ける作業は建設業です。
もしも,鉄骨を現場で切断して溶接組立したとすると,その作業には建設業法が適用されます。鉄骨工場で溶接しようが,現場で溶接しようがその作業に変わりはありませんが,そのように扱われています。
では,工場での「製品づくり」と現場での「建設業」との境目は,どこでしょうか。その製品を現場にトラックなどで搬入して現場に降ろすところまでが製品づくりとして扱われているようです。〈資材搬入と建設業の境目〉
現在では,現場事務所(プレハブハウス)のように建物をまるごと工場で作ることもします。工場で柱梁を組み立て,建具を取り付けて内装工事してもその作業には建設業法は適用されません。現場に搬入した後の設置する作業のみが適用されます。
「建設業法は現場での作業に対してのみ適用される」というのは,実務経験にも影響します。建設工事を10年間経験すれば建設業法第7条第二号ロの実務経験者として認められます。この時の実務経験は工事請負契約により行われたもののみです。
つまり,プレハブハウスの製作をプレハブ工場で10年間経験して建具取り付けや仕上げ材取り付けに熟練したとしても,建設業の実務経験にはなりません。
上記のことは私の経験上,現実としてそのように扱われているというものでしかありません。許認可部局の公式見解ではありませんので差し引いて解釈してください。
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<余談>
土木工事では,海峡を渡る橋げたを完全な形で鉄工所で作って,巨大な台船に載せて持ってきて釣り上げて設置するという工事も行われます。左の考えで言うと現地で設置する作業のみが建設業法の対象となるのですが,もしかして,違うかもしれません。巨大土木工事の工場製作をアルミサッシ製作と同じように製品づくりと考えるのは無理があるように思います。
巨大土木工事の工場製作に建設業法が適用されるのかどうかは,私はわかりません,としておきます。
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このページの公開年月日:2014年9月