<資材搬入と建設業の境目>
建設業法はその現場で行われる作業について適用されるものであることは〈建設業法は現場での作業に対して適用される〉で解説した通りです。アルミサッシは工場で作られて現場に搬入されますが,アルミサッシの製作に建設業法が適用されたりはしません。アルミサッシの製作は「製品づくり」であって,出来上がったアルミサッシを現場で取り付ける作業に建設業法が適用されるのです。
では,「製品づくり」と「建設業」の境目はどこでしょうか。
実は,「製品づくり」と「建設業」の境目はどこかなどは,ネット上で入手できる公式の解説の中には(2014年10月時点で)私の知る限りありません。以下に書くことは,私の経験上,現実としてそのように扱われているというものでしかありません。許認可部局の公式見解ではありませんので差し引いて解釈してください。
生コンを打設する作業を例にして説明します。生コン打設は一般的に次のように行われます。
- 生コン工場がアジテーター(生コン車)で,現場へ生コンを搬入する。
- 生コン工場の作業員が生コンの入ったドラムを逆回転して生コンを吐き出す。
- 吐き出した生コンはポンプ車の受け口に流れ込み,ポンプ車を操作して100φぐらいのホースで生コンを流す。
- ホースは打設したい型枠のところまでつながっていて,型枠に流れ込んで,バイブレーターで締め固める。
上記作業で,1.は資材を現場に運搬しているだけですから建設業法は適用されません。2.は,現場に入って作業員がヘルメットをかぶって生コンを流すという作業をするのですが,この作業に建設業法が適用されてはいません。3.のポンプ車の操作は,とび土工の許可を持った建設業者が行うもので建設業法が適用されます。4.も躯体を作るという作業そのものですから建設業法が適用されます。
建築現場でコンクリートの打設作業を見ていると,2.の作業も生コンを流し込むという作業をしていて,現場内でヘルメットをかぶって作業していますから,その人も建設作業に加わっているような気がします。でも,2.の作業に建設業法は適用されません。理由は,納品した製品を荷卸ししているだけだからです。ならば,3.も型枠のところまで持って行って荷卸しするのだと解釈すれば建設業法が適用されないのでは?との考え方も生じかねませんが,現場内での資材の運搬は建設業法の適用範囲と考えているようですから,建設業法が適用されます。
上記の生コン搬入作業を手本として他の事例にも当てはめると,トラックで資材を運搬して現場内の仮置き場で資材を下すところまでが納入で建設業法は適用されず,仮置き場に貯めてある資材を現場内で実際に取り付けるところへ持っていく作業からが建設業法の適用範囲なのだと思います。
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このページの公開年月日:2014年10月