定期報告対象となる建築設備の条文の読み方

<定期報告対象となる建築設備の条文の読み方>

建築設備のうち定期報告対象となるものを規定した条文は次の部分です。

法第12条第3項:特定建築設備等(昇降機及び特定建築物〈特定建築物の定義〉の昇降機以外の建築設備等をいう。)で安全上,防火上または衛生上特に重要であるものとして政令で定めるものの所有者は,~~

政令第16条第3項:~~政令で定める建築設備等は,次に掲げるものとする。
第1号  政令第129条の3第1項各号に掲げる昇降機(~~事故が発生する恐れが少ないものとして大臣が定めるものを除く。)
第2号  防火設備のうち,法第6条第1項第1号に掲げる建築物で第1項各号に掲げるものに設けるもの(~~避難上著しい支障が生じるおそれの少ないものとして大臣が定めるものを除く。)

この条文の読み方は次の通りです。

対象となるのは,政令の第1号と第2号のものです。

第1号の昇降機は,エレベーター,エスカレーター,小荷物専用昇降機のことで,その用語の定義は政令第129条の3に示されています。

第2号の防火設備は,法第6条第1項第1号に掲げる建築物で第1項各号に掲げるものに設けるものを対象とするものです。

かっこ書きの大臣が定めて除くものは,H28告示第240号で定めています。第1号の昇降機のうち定期報告対象から除かれるものを同告示第2で,第2号の防火設備のうち定期報告対象から除かれるものを同告示第3で定めています。

H28告示第240号

第2 ~~事故が発生する恐れの少ない昇降機は,次に掲げるものとする。

一 籠が住戸内のみを昇降するもの

二 労働安全衛生法施行令第12条第1項第六号に規定するエレベーター

三 小荷物専用昇降機で,昇降路のすべての出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面よりも50cm以上高いもの

第3 ~~支障が生じる恐れの少ない防火設備は,次に掲げる建築物に設ける随時閉鎖又は作動をできるもの(防火ダンパーを除く。)以外のものとする。

一 第1第1項各号に掲げる建築物(避難階以外の階を法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供しないもの並びに地階及び3階以上の階における当該用途に供する部分の床面積の合計がそれぞれ100㎡以下のものを除く。)

二 病院,診療所又は第1第2項に規定する高齢者,障害者等の就寝の用に供する用途に供する部分の床面積の合計が200㎡以上の建築物


<定期報告対象となる昇降機>

上記をまとめると,政令指定で定期報告の対象となる昇降機は次のようになります。

政令指定で法第12条第3項の定期報告対象となる昇降機:

政令第129条の3で定義されるエレベーター,エスカレーター,小荷物専用昇降機で,

エレベーターについては,籠が住戸内のみを昇降するもの,労働安全衛生法施行令第12条第1項第六号に規定するものを除き,
小荷物専用昇降機については,昇降路のすべての出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面よりも50cm以上高いものを除く


<定期報告対象となる防火設備>

対象となる防火設備は読み方が複雑です。防火設備の定義はありませんが「政令で定める防火設備」は定義されていますから「防火戸などの火炎を遮る設備」のことと思われます(〈政令で定める防火設備の定義〉を参照)。

その防火設備の中で「随時閉鎖又は作動をできるもの」に限られますから,事実上,熱感知式や煙感知式で閉鎖される防火戸のことになります。

かつ,取り付けられる建築物が第一号と第二号で限定されています。第一号の「第1第1項各号に掲げる建築物」とは,政令指定で定期報告対象となる建築物のことで,同第1項柱書のかっこ書きも規定されてますから,政令指定で定期報告対象となる建築物そのものです。

第一号はいいですが,問題は第二号です。定期報告対象とならない建築物についても付加するもので,病院,診療所などに取り付けられる防火設備も対象となります。病院,診療所などでは1階部分のみに対象用途がある場合には定期報告対象建築物にはなりませんが,1階部分のみであっても200㎡以上であれば防火設備が対象になります。

政令指定で法第12条第3項の定期報告対象となる防火設備:

防火設備としては,熱感知式や煙感知式で閉鎖される防火戸で,

取り付けられる建築物としては,政令指定で定期報告対象となる建築物に加えて,1階部分にのみ病院,診療所などの用途の部分が200㎡以上ある建築物です。(2階に用途がある場合も300㎡未満ならば,定期報告対象建築物とはなりませんが,1階,2階を合わせたその用途の部分が200㎡以上であれば対象になります。)

※「病院,診療所など」とは,診療所ではその部分に患者の収容施設のあるものに限られ,「など」には,第2項の高齢者,障害者等の就寝の用に供する建築物を含みます。


上記のように,政令指定で定期報告対象となる建築設備の中に,機械換気設備や給排水設備は含みません。おそらくこれらは特定行政庁指定で指定されるものと思います。

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特定建築物の定義

2016年6月施行の定期報告制度改正で「特定建築物」という用語が新設されています。〈特定建築物の定義

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新定期報告制度の解説ページ

定期報告制度ポータルサイト

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このページの公開年月日:2016年2月29日