特定建築物の定義

<特定建築物の定義>

2016年6月施行の定期報告制度改正で「特定建築物」という用語が新設されています。

「特定建築物」は法第12条第1項で定義され,法第12条のみで使われる用語です。

定義している条文は,

法第12条第1項  ~当該政令で定めるもの以外の特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)~

の部分です。

この条文の前段のかっこ書きが「特定建築物」を定義したものでして,このかっこ書きは「特定建築物」にのみかかっています(なぜ,そう言えるのかを聞かれると説明しにくいです。かっこ内が用語の定義をしているとしか読めないのでその前にある漢字熟語のみを定義しているとしか考えられないからです)。そして,かっこ内の「同号」とは法第6条第1項第1号であり,「政令で定める」の政令とは令第16条第2項であり,そこから「令第14条の2に規定する建築物」とありますので,事務所等の5階建て以上かつ1000㎡以上の建築物が加わります。

結果としてその定義は,

特定建築物:

法第6条第1項第1号に掲げる建築物
あるいは,
事務所等で階数が5階建て以上かつ延べ面積が1000㎡以上の建築物

となります。

前段はいわゆる「1号もの」で,「1号もの」のことを「特殊建築物というのでは?」と思われるかもしれませんが,法第2条で定義される「特殊建築物」と「1号もの」とは別物です。「1号もの」は特殊建築物であり,別表第1かつ100㎡以上に限定されます。

また,かっこ内の「その他」と並列で解釈しています。〈「その他」と「その他の」〉をご覧ください。


特定建築物は,法第12条で定義された用語ですから「特定建築物」=「定期報告の対象建物」と,つい思ってしまいますが違います。

ならば,「特定建築物」は,どういう意味の用語でしょうか。

日本建築防災協会」の解説では「報告対象となり得る範囲」と表現されています。対象範囲をどんなに広げようと思っても特定建築物の定義までしか広げてはいけませんという意味です。ただし,それは特定行政庁指定のことでして,政令指定は特定建築物の範囲を超えて指定することは可能です。

定期報告の対象となる建築物は〈定期報告対象となる建築物の条文の読み方〉を見てください。





定期報告制度2016の関連情報
定期報告対象となる建築物の条文の読み方

└〈特定建築物の定義

定期報告対象となる建築設備の条文の読み方

└〈建築設備の定義

└〈建築設備等,特定建築設備等の定義

└〈政令で定める防火設備の定義

独り言

通常,かっこ書きによる用語の定義は,かっこの前に定義を書いてかっこ内で「以下,『特定建築物』という。」とするものですがこの条文では逆転しています。こうしたイレギュラーな書き方はやめてほしいところですけど,この条文の場合,「特定建築物」の前に「当該政令で定めるもの以外の」があってこれに影響されないように特定建築物を定義しなければいけなので,このような書き方になったものと思われます。そうした事情があったにせよ,近年,わかりにくい改正条文が増え続けています。



このページの公開年月日:2016年2月28日