<事件・災害への行政対応①(入門編)>
<横浜市マンションの杭の未到達事件への対応>
事件の概要は,
平成27年,完成しているマンションの一部が完成したのちに沈下したのではないかと見て取れる部分があったため調査したところ,杭の一部が支持地盤に到達していないことがわかった。
さらに,杭の施工記録が改ざん・流用され記録上は支持地盤へ到達したことになっていたことがわかった。
というものですが,詳しくは,〈マンション杭未到達事件〉を見てください。
この事件を受けて国土交通省建築行政部局が対応した結果がHPで公開されています。
「基礎ぐい工事に関する適正な設計・工事監理の実施に向けて」です。
工事監理のガイドラインと設計に関する注意喚起を出しています。
<外壁タイル落下事故への対応>
平成17年,東京都中央区オフィスビルにおいて外壁落下により2名の負傷者が出るという事故が発生しました。
この事故を受けて国土交通省建築行政部局が出した指示はこちらです→「既存建築物における外壁タイル等落下物対策について」
対策の結果は,毎年2回の防災週間行事の結果報告として,例えば,「建築物防災週間において行った各種調査結果の公表について」で発表されています。
<広告版落下事故への対応>
平成19年,東京都新宿区のビルの広告版が落下し,2名が負傷するという事故が発生しました。
この事故を受けて,タイル落下と同様の指示を出して調査しています。調査結果も上記で発表されています。
<エレベーター圧死事件への対応>
平成18年,東京都港区の公営住宅で,扉があいた状態で籠が急に動きだし,乗降中の高校生が死亡する事故が発生しました。事件の概要については,例えば,「シンドラーエレベーター(wikipedia)」を見てください。
この事件を受けて,国土交通省では,エレベーターの安全基準を強化する法改正を行いました。具体には,扉が開いている状態ではモーターを作動させない安全機構の設置を義務付けました。
こうした基準の強化は,防火シャッターの挟まれ事故を受けての,シャッター閉鎖中の自動停止機構の義務付けもありました。
現在の基準法は,事件・事故を受けて強化されてきたものとの一面があります。もちろん,緩和や合理化も行われています。
次は,事故などへ,建築行政部局がどのように対応すべきかを,事例検討の中で考えてみましょう。
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このページの公開年月日:2017年9月13日