2 法文の読み方(続編)「条文の骨格と『または』がつなぐ範囲」

<2 条文の読み方(続編「条文の骨格と『または』がつなぐ範囲」)>

2 法文の読み方〉で,「3.条文の骨格を読む」と「4.修飾語句が修飾する範囲,『または』がつなぐ範囲」を解説しました。

条文を読むにあたって,「何が,何を,どうする。」という,文章の骨格をつかむことと,修飾語句がどの言葉を修飾しているのか,「または」は何と何をつないでいるのかを正確に把握する必要があります。

このページでは,〈2 法文の読み方〉よりもさらに具体的に条文の骨格などを見ていきましょう。

法第2条第1号「建築物」の条文は,

1 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

です。この条文は,冒頭の「建築物」という用語を,その後ろの言葉で定義したものですから,「何が,何を,どうする。」という,主語+目的語+述語というような形式にはなっていませんで,末尾の「とする。」が断定形でとなっていてその前にあるものがすべて建築物の定義に当てはまるものです。で,この条文を,修飾語句がどの言葉を修飾しているのか,「または」等は何と何をつないでいるのか,という観点で分析していきます。

まず,1行目,2番目の言葉で「屋根及び柱若しくは壁を有するもの」がありますが,「及び」が何と何をむすんでいて,「若しくは」が何と何をむすんでいるのか,わかるでしょうか。

  1. 「屋根及び柱」若しくは「壁」
  2. 「屋根」及び「柱若しくは壁」

建築基準法の冒頭にある「建築物」という用語を定義した条文ですから,知っている人にとっては2.の「屋根」及び「柱若しくは壁」であることはわかりきったことなのですが,1.であるのか,2.であるのかによって条文の意味が変わってくることから説明します。

1.だとするなら,「屋根及び柱を有するもの」と「壁を有するもの」とが建築物の定義に当てはまることになります。

2.だとするなら,「屋根及び柱を有するもの」と「屋根及び壁を有するもの」とが建築物の定義に当てはまることになります。

1.と2.の違いがわかると思います。1.だとするならば,壁がありさえすれば屋根がなくても建築物であるとなってしまいます。正解は,2.の屋根があることは必須条件で,屋根+柱のものも,屋根+壁のものも建築物です。で,「正解はこれです。」ということではなくて,そうしてそうなるのか,です。この条文の「若しくは」のところが「または」だったとするなら,両方の解釈があってでしょうけど,「若しくは」ですから,若しくはが小さくむすんで,及びが大きく結ぶということになります。