<既製コンクリート杭の工法>
既製杭である既製コンクリート杭の工法について説明します。
既製コンクリート杭の工法は,JISA7201「遠心力コンクリートくいの施工標準」で規定されています。これによれば,工法は次の9つです。
打込み工法=打撃工法+プレボーリング併用打撃工法
埋込み工法=プレボーリング工法+中堀り工法+回転工法
プレボーリング工法=プレボーリング最終打撃工法+プレボーリング根固め工法+プレボーリング拡大根固め工法
中堀り工法=中堀り打撃工法+中堀り根固め工法+中堀り拡大根固め工法
回転工法=回転根固め工法
建築分野では,「打込み工法」は周辺への騒音・振動の配慮からあまり使われないものと思います。「最終打撃」もあまりしませんから,既製コンクリート杭の工法としては,「プレボーリング根固め工法」「プレボーリング拡大根固め工法」「中堀り根固め工法」「中堀り拡大根固め工法」の4つが現実的なものです。
「プレボーリング工法」と「中堀り工法」の違いは,地面に穴をあけてから杭を立てこむか,杭の中空部を利用して杭体といっしょに掘り進むかの違いです。
「プレボーリング工法」では,あらかじめアースオーガーなどによって掘削液(孔壁の崩落を防ぐもの)を注入しながら掘削してから杭を立てこみます。
「中堀り工法」では,杭体の中空部にロッドを差し込んでロッドの先端にオーガーヘッドをつけて,杭体といっしょに回転させながら掘り進んでいきます。
「根固め工法」と「拡大根固め工法」は,いずれも杭孔の底に根固め液(セメントミルク)を充てんすることで先端部に支持地盤と密着させる部分を設けたものです。ふたつの違いは,「拡大根固め工法」では,杭孔の底部で杭径よりも広く掘削した空間を作ってセメントミルクを充てんして杭先端部を広げることで支持力を向上させることです。
「根固め工法」と「拡大根固め工法」は,建築基準法の杭に関する告示である「地盤の許容応力度及び基礎杭の許容支持力を求めるための地盤調査の方法並びにその結果に基づき地盤の許容応力度及び基礎杭の許容支持力を定める方法等を定める件」(告示H13-1113)では,「セメントミルク工法による埋込み杭」に分類されています。ただし,支持力の計算式は「拡大根固め工法」の方が高くできます。解説はこちら〈第38条削除後の認定杭の扱い〉です。
国の「公共建築工事標準仕様書」では,「プレボーリング根固め工法」のことを「セメントミルク工法」としています。また,「プレボーリング拡大根固め工法」のことを「特定埋込み杭工法」としています。「中堀り工法」についてはなぜか触れられていません。
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<参考>
既製杭のコンクリート杭のことなら,「一般社団法人コンクリートパイル・ポール協会」と「一般社団法人コンクリートパイル建設技術協会」がHPで解説しています。
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このページの公開年月日:2015年2月22日