<防水(シーリング)>
防水工事の品質について解説します。防水には屋根面の防水のように面的な部分の防水と,シーリングといって隙間をつめる防水があります。ここでは,シーリングを解説します。(参考:〈防水(シーリング以外)〉)
シーリングに用いる材料は,JISA5758に適合するものを使用することになっています(標準仕様書9.6.2(a))。
JISA5758では,シーリング材を2つのタイプに分類して,それをさらにいくつかのクラスに分けています。加えて,「引張応力による区分」「弾性復元性による区分」「主成分による区分」などがあります。
タイプG : クラス25,クラス20,クラス30S
タイプF : クラス25,クラス20,クラス12.5,クラス7.5
この「タイプG」とは,窓枠などにガラスをはめ込み固定する工法であるグレイジングに使用するシーリング材のことであり,「タイプF」とは,それ以外に使用するシーリング材です。
タイプの下の,クラスは,シーリングがつなぐ目地が拡大・縮小してもシーリング材がどれだけ追随するかという性能を示したものです。数字が大きい方が伸びチジミの許容範囲が大きいことを示しています。
「主成分による区分」では,次の7つがあります。
主成分による区分:シリコーン系,ポリイソブチレン系,変成シリコーン系,ポリサルファイド系,アクリルウレタン系,ポリウレタン系,アクリル系
国の「公共建築工事標準仕様書」では,シーリングをグレイジング用とそれ以外とに分けることをしていません。その代わりに,シーリングで接合する材料に応じて適用するシーリングの種類を「公共建築工事標準仕様書(表9.6.1)」で規定しています。
例えば,
コンクリートの打継目地で仕上げのあるもの→「2成分型ポリウレタン系」
コンクリートの打継目地で仕上げのないもの→「2成分型ポリサルファイド系」
ガラスとガラス→「1成分型シリコーン系」
コンクリートと金属→「2成分型変性シリコーン系」
を用いることになっています。
正確には「[cshiyousholink1]」を見てください。←被着体の組合せとシーリング材の種類(表9.6.1)は左の115ページ。
被着体の組合せに応じて適切なシーリング材の種類を選ぶことは難しいことです。被着体の組合せとシーリング材の種類(表9.6.1)で選べば問題ないように思われがちですが,シーリング材の種類の選定はもっと奥が深いです。日本建築学会では「外壁接合部の水密設計および施工に関する技術指針・同解説」で適切な組み合わせを示していて,国の標準仕様書のものとは微妙に異なります。正確には「シーリング材製造業者に問い合わせて,十分に確認することが必要」です。
※ 上記の技術指針・同解説書は販売されている書籍ですのでネット上でただで閲覧することはできません。