アスベスト

<アスベスト>

アスベストは現在では建築材料としての使用は禁止されていますから,現在流通しているどの材料を使ってもアスベストが含まれていることはありません。その意味で新築工事であればアスベストを気にする必要はありません。

アスベストの知識を必要とするのは,古い建物を解体する時や改修工事をするときです。解体工事を建築士が設計するのかと疑問に思われるかもしれませんが,解体数量の算出が必要なので設計するのです。解体や改修工事の設計で必要となるのが,アスベストを含む材料の処理です。有害物質ですから,安全に除去しなければいけません。大きな費用も掛かりますから見積もっていなければいけません。


建築工事において必要なアスベスト関連知識について,解説します。

アスベストを含むものを解体工事(改修も)することの影響を2つに分けています。

  1. 解体によってアスベストが飛散して空気環境を悪くすることで周辺の居住者の健康への悪影響
  2. 解体によってアスベストが飛散して解体作業をする作業員の健康への悪影響

1.について → 大気汚染防止法

2.について → 労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則(平成17年7月1日施行)

1.と2.は守る目的が違っていて規定する法律も違っています。規制内容も違うのですが,簡単に書くと,石綿を含んでいる材料の危険度に応じて3つのランクにわけて適用しています。レベル1,レベル2,レベル3とします。法律上では「レベル1」などの用語は使われていませんが,一般的にはそのように呼ばれています。

レベル1:吹付石綿(作業による飛散が激しい。つまり最も影響が大きい)

レベル2:石綿を含有する断熱材,保温材及び耐火被覆材

レベル3:アスベスト含有成形版(石綿が他の材料で閉じ込められているもの)

  1.の大気汚染防止法が対象としているのは,レベル1とレベル2です(大気汚染防止法第2条第12項で「特定建築材料」が含まれている建物を解体等することを「特定粉じん排出等作業」としている。「特定建築材料」は同施行令第3条の3で定義し,「解体等」は同施行令第3条の4で定義している)。

2.の石綿障害予防規則では,レベル1から3を対象としています。同予防規則では,解体工事の前にアスベストの有無を調査することを義務づけています(第3条)。

レベル1から3によって対策も違いますし,事前の手続きも違います。

加えて,解体で取り出した石綿または石綿を含む材料は捨てなければいけませんから廃棄物処理法が適用されます。


上記で紹介したことはアスベスト問題のほんの入り口でして,アスベストのことなら次のHPがよくわかります。

アスベスト問題への取り組み『建物を壊す時はどうすればいいの』」(環境省HP)

建築物解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル2014.6」(環境省HP) ← これは膨大なマニュアルであり,全部読んだらアスベストが習得できます。

 

石綿含有廃棄物等処理マニュアル」環境省大臣官房廃棄物リサイクル対策部

アスベスト吹付の調査と対策」獅堂洋行氏の作

建物を解体・改修するには(石綿を含むスレート板,ビニル床タイルに注意)」厚生労働省・労働基準監督署 ← アスベスト含有成形版も石綿作業主任者や除去作業者などの条件が適用されます。

石綿含有建材データベース」国土交通省・一般財団法人建築試験センター

石綿を含有する建築物の解体等に関する届出について」厚生労働省・国土交通省・環境省

当社アスベスト含有製品についてのお知らせ」大建工業㈱

 

アスベスト含有塗材情報」(日本建築仕上材工業会)←複層塗材などの塗料にもアスベストが含まれたものがあったようです。品名や年代が書いてあります。

リシン吹付け材にアスベスト」(㈱日本保健衛生協会)


アスベスト成形板に塗装する時の取扱いが,建築研究所から2014年1月に出ています。既存建物の繊維強化セメント板(石綿スレート)には,アスベストが含まれている場合が多いです。改修工事で石綿スレートに塗り替え工事をすることがあると思いますが,塗装の下地調整でけれん作業をすると,アスベストが飛び散る恐れがありますから,その場合の対策を定めたものです。

アスベスト含有成形板の塗装改修工事指針(案)


「建築物石綿含有建材調査者」について。

平成26年5月16日の国土交通省発表で新たな資格者であるこの調査者のことが公表されています。既存建物で使用されている石綿含有建材使用実態を把握するためのものと説明されています。

建築物石綿含有建材調査者講習修了者の確定について」(国土交通省発表)

この調査者の資格試験や登録事務をしているのが一般社団法人日本環境衛生センターです。

一般社団法人日本環境衛生センター

同 センターの修了者台帳


大気汚染防止法が改正され,平成26年6月1日から施行されています。

改正大気汚染防止法(平成26年6月1日施行)



関連情報

有害物質

└〈アスベスト

└〈PCB

関連法令

大気汚染防止法」「 同 施行令」「 同 施行規則

石綿障害予防規則

ちょっと解説「石綿と岩綿」

石綿と岩綿は別のものです。石綿=アスベストで,岩綿=ロックウールです。

アスベストは発がん性物質ですが,岩綿は発がん性物質とされてはいません。アスベストの代替え材として現在も岩綿が使われています。どちらも綿状のものですが,感じが違うので見ればわかるのだそうです。私は区別できません。



このページの公開年月日:2013年10月27日