適合性判定を必要とする行為

<適合性判定を必要とする行為>

建築物省エネ法で基準への適合が義務化されたことの制度全般については〈大規模非住宅建築物の省エネ基準適合義務の制度〉で解説したとおりです。

このページでは,その手続き「適合性判定(法第12条)」を必要とする行為を解説します。

適合性判定の手続きを規定したのは法第12条で「特定建築行為をしようとするとき」とされています。手続きを必要とする行為を理解するためには,「特定建築行為」と「特定建築物」のふたつの用語を知る必要があります。

特定建築物 居住のために継続的に使用する室その他の政令で定める建築物の部分(以下「住宅部分」という。)以外の建築物の部分(以下「非住宅部分」という。)の規模がエネルギー消費性能の確保を特に図る必要がある大規模なものとして政令で定める規模以上である建築物

※政令で定める規模は2000㎡

特定建築行為 特定建築物の新築

・特定建築物の増築または改築(非住宅部分の増築又は改築の規模が政令で定める規模以上であるものに限る。)

・特定建築物以外の建築物の増築(非住宅部分の増築の規模が政令で定める規模以上であるものであって,当該建築物が増築後において特定建築物となる場合に限る。)

※政令で定める規模は300㎡

※平成29年3月末に存在していた建築物に対して行う増改築については経過措置あり

上記の特定建築行為をしようとする時に適合性判定を必要とします。適合性判定を必要とするということは省エネ基準への適合義務が生じます。

<手続きの要否の補足>

適合性判定手続きの要否について付け加えます。


必要とするのは,新築,増築,改築であって,設備の更新や主要構造部の大規模修繕・模様替えは,対象とされていない。

旧省エネ法では,第一種特定建築物について,設備の更新や大規模修繕・模様替えも届出の対象になっていましたが,適合性判定では対象とされていません。


自動車車庫など省エネ性能があまり問題とならない建築物については適用除外されている。

自動車車庫や堆肥舎などはその性質上建物の省エネ性能があまり必要とされていませんから規模にかかわらず適用除外とされています。この適用除外は自動車車庫の建築物に対してです。複合用途建築物の自動車車庫部分が除外されるものではありません。詳しくは,〈適用除外となる建築物(用途)〉を見てください。


住宅部分を除いて,2000㎡を適用する。

店舗が併設されていないマンションは適合性判定の対象ではありません。店舗などの商業施設や事務所が併存している場合は住宅部分を除いて2000㎡を超えているかどうかで判定することになります。詳しくは,〈住宅と非住宅の性能基準の適用の違いと住宅の定義〉を見てください。


2000㎡(増築などでは300㎡)の床面積の規模の算定にあたっては,開放されている部分の面積を除く。

令第4条で2000㎡を規定したところの「床面積」には「内部に間仕切壁又は戸を有しない階又はその一部であって,その床面積に対する常時外気に開放された開口部の面積の合計の割合が20分の1以上であるものの床面積を除く。」とあります。したがって,開放廊下で建築基準法上の開放面積が不足しているために床面積に算入する部分があっても省エネ法上は床面積に含まれません。


増築・改築する場合は増築・改築する部分の面積が300㎡以上であれば対象となる。

特定建築物を増築する場合,または,増築して特定建築物になる場合で増築部分の床面積が300㎡を超えるときには手続きが必要です。ただし,これは平成29年4月以後に特定建築物になった建築物を増築する場合のことでして,その時すでに存在していた特定建築物を増築する場合は附則第3条で緩和されています。附則により「平成29年3月末に存在していた特定建築物を増築する場合は,既存面積を超える増築を行う場合が対象となる」です。

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何日前に手続きが必要か

旧法の第一種特定建築物の届出は,「21日前までに」との規定がありましたが,新法では何日前までであるかの規定はありません。新法では建築基準関係規定(法第11条第2項)としていますから,同時に提出している建築確認申請が通知されない限り建築工事に着手できないことになっています。したがって,行政庁の審査期間を勘案してゆとりをもって提出することが必要です。

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このページの公開年月日:2017年4月23日