建築基準法の適用除外・一部適用除外

<建築基準法の適用除外・一部適用除外>

建築基準法は〈建築物の定義〉で定義されるものに適用されますが,例外(いわゆる,適用除外となるもの)もあります。

適用除外の代表は,文化財となっている建築物などで,法第3条第1項で定義されています。

また,法律が施行される前から存在していた建築物もその後の増築工事などをしない限り適用除外となります。施工前から存在している建築物を増築等する時に基準法が適用されるかされないかはとても複雑な規定になっていまして〈増築における既存不適格の継続と遡及適用〉で解説していますから見てください。

そして,仮設建築物などは条文の一部が適用除外されています。

適用除外をまとめると次のようになります。

適用除外の範囲 適用の復活・注意事項
国宝や文化財などに指定された建築物(法第3条第1項) 建築基準法のすべて 文化財などであり続ける限り建築基準法の適用はない。
既存不適格建築物(法第3条第2項) 建築基準法のすべて 増築などの工事(軽微なものを除く)をすることで適用除外が消える。〈増築における既存不適格の継続と遡及適用
簡易な構造の建築物(法第84条の2) 単体規定の一部 手続き規定は免除されない。
仮設建築物(法第85条) 単体規定・集団規定の一部 手続き規定が免除されるものと免除されないものがある。手続きが免除されたからといって,基準が適用されないわけではない。

<一部適用除外>

屋根だけで壁のない自動車車庫や,テント屋根のスポーツ練習場などは「簡易な構造の建築物」として法第84条の2でいくつかの条文が適用除外になっています。また,災害時の応急仮設建築物や工事中の仮設店舗や工事のための仮設建築物なども法第85条でいくつかの条文が適用除外になっています。「工事のための仮設建築物などは建築基準法が適用されない」と思っている人もいるようですが,全条文が適用除外になっているのではありませんので,適用される条文については守らなければいけません。

簡易な構造の建築物の緩和

〈仮設建築物の緩和〉

で解説します。

このページの公開年月日:2017年10月9日