<差し筋>
「差し筋」とは。
「差し筋」は,次回に打設するコンクリートの鉄筋と一体化するためにあらかじめ入れておく鉄筋のことです。
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説(2010)」(日本建築学会編集)では,付録C「用語・索引」で次のように定義しています。
差し筋:壁・スラブ・階段などで,次工程で打設するコンクリートと一体化するために,あらかじめ挿入しておく鉄筋。次工程の鉄筋は差し筋と接合しながら組み立てる。
1階のコンクリートを打設し終わってから,2階の鉄筋を配筋して2階のコンクリートを打設するのですが,1階と2階の打設面より上に鉄筋が立ち上がっていないと2階の鉄筋と繋がることができません。打設面に立てておく鉄筋のことを「差し筋」と言います。とはいえ,1階の柱の上に2階の柱の主筋が立ち上がっていますが,主筋は「差し筋」とは言いません。打継面が垂直である場合,打継面に梁主筋が伸びていますがそれも「差し筋」とは言いません。1階にも2階にも壁があって1階の壁の縦筋を打継面よりも上に出しておきますがこれも「差し筋」とは言いません。
「差し筋」と言えるのは,基礎梁の上に壁がある時に基礎梁を打設した時に壁の縦筋を定着させておきますがこれは「差し筋」です。基礎梁の外周に土間がある場合,土間は基礎梁とは一体で打設することができませんから,基礎梁の型枠に穴をあけて土間の配筋を通しておきますがこれも「差し筋」です。「差し筋」という用語は,「[cshiyousholink1]」では使われていません。「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説(2010)」(日本建築学会編集)でも,本文の中では「差し筋」の解説はありません。その意味では,「差し筋」というものは「現場用語」に近いものです。「差し筋」は,最初のコンクリートと次に打設するコンクリートをつなぐものですから長さが重要です。定着長さと言いますが,「差し筋」の定着長さがいくらであるかはどこにも規定されていません(私の知る限りですが)。では,どうなっているかというと,定着長さと重ね継手の長さを組み合わせることになります。基礎梁の上に壁があってその差し筋は,基礎梁に対しては壁筋の定着長さをとり,基礎梁より上は重ね継手の長さをとります。
この図は,壁筋を溶接金網でしたものです。この中で「差し筋」は基礎梁の上に半分飲み込まれるように立ててある点線で表示している鉄筋だけです。2階梁で打ち継ぐときに1階の壁筋が伸びていますからこれも「差し筋」なのでは?と思いますが,壁筋が伸びているものは「差し筋」ではありません。
[cwpkouzouhinshitsu1]