<図面化技術(建築製図)>
建築士の仕事の成果は図面によって表現されます。「図面は商品である」といわれます。歴史に名を残す建築家の作品であれば,建築された建物が価値あるものであるとともに図面自体が芸術作品として評価されるほどです。
図面はその建築士の技術的知識や経験の集大成として作るものですが,それには図面として表現する能力が必要です。細部においては個人の技量や工夫によって改良されますが,基礎となる部分は共通しています。それを解説します。
図面化のことを「製図」と言います。製図手法のもっとも基礎となる部分は日本工業規格(JIS)で定められています。
建築製図通則:JISA0150
このJISでは製図に使う用紙の大きさからはじまって,いろいろなことを定めています。
製図に使う用紙の大きさなどは建築製図通則(JISA0150)からさらにJISZ8311で次のように規定しています。
用紙:A0判からA4判横長が原則で,縦長で使うことも認められている。
図面の表題:図面の右下に幅170mmまでの枠を取って,図面番号,図名,作者などを書く
図面外周の輪郭:原則周囲から10mm以上空白をあけて0.5mmの線で枠を書く
製図に用いる縮尺は,JISZ8314で次のように規定しています。
縮尺:「1:2」「1:5」「1:10」「1:20」「1:50」「1:100」,~「1:10000」
図中に寸法を示す場合の方法は,JISZ8317で規定しています。寸法線は細線で矢印の場合15度ずつ開いた角度にすることが規定されています。ここでは,寸法に記入する文字の高さと寸法線の矢印の長さの関係も推奨が示されています。また,寸法を表記する場合の,「φ50」→「直径50」,「□50」→「四角形の一辺が50」,「R50」→「半径50」,「t5」→「厚さ5」であることもここで示されています。
図中に用いる線は,JISZ8312で規定されていて,線の太さは0.13mmから2mmまで選べるようになっていますが,その中の,極太線,太線,細線(太さの比は,4:2:1)の3種類を用いるものとしています。「実線」「点線」「一点長鎖線」などの用語もこのJISで定義しています。
基準線は,JIS上では実線で書くことが優先されていますが,建築の実務ではJISで言う「強調したい場合は一点鎖線」を用いて,一般的に一点鎖線を使っています。太さは細線が優先されますし,基準線の両端には○記号で通り番号を書くようになっています。
建築製図通則(JISA0150)では,扉・窓の書き方やコンクリート部材の断面を斜め45度の三本線で表記することを規定しています。平面図上で釣り天井をどう描くかということも書いていますので,詳しくは建築製図通則(JISA0150)を読んでください。
上記のように建築製図通則(JISA0150)でかなり詳しく規定されていますが,図面表現のためにはもっとたくさんの情報が必要です。
図面をどう作るかについては,国土交通省官庁営繕部が「建築工事設計図書作成基準(平成28年版)」「建築工事設計図書作成基準の資料」を公開しています。ここでは断面位置を示す場合の記号や,建具記号や,敷地境界線を二点鎖線で示すことなどが規定されています。
平面図などに何を記載すべきかの法令上の規定はあります。建築基準法施行規則第1条の3です。ここに規定されていることは,確認申請書に添付する図面に記載すべき事項です。例えば,不燃仕上げが必要な部屋の仕上げが不燃材になっているかどうかを記載すべきとしています。
図面は現在ではコンピュータでCADソフトを使って作成します。CADを使いこなせる技術が必要ですので,それをまとめてみました。
〈CADを使いこなす技術〉 ←CAD以外の便利なアプリ解説も入れました。
図面の分野としてもうひとつ,「施工図」があります。施工図は施工においてそれぞれの専門業種の作業員に具体の製作を指示する図面であり,これを作ることによって,納まりの整合を再確認するものでもあります。
〈施工図〉
公共工事の設計では図面を電子化して納品することを求められます。
〈電子納品〉
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このページの公開年月日:2012年6月1日