<平板載荷試験>
「平板積荷試験」は,地表面で直接に鉛直荷重を作用させてその変位を測定するものです。この試験により,その位置の地盤の支持力を求めることができます。
平板積荷試験を行うことのメリットは,何と言っても,その地盤の許容応力度を直接的に測定できることにあります。
「平板積荷試験」のやり方は,「敷地調査共通仕様書」に「地盤工学会の地盤の平板積荷試験方法(JGS1521)による」と規定されています。
「平板積荷試験方法(JGS1521)2011案」なら地盤工学会のHPで見ることができます。正確には販売されているものを見てもらいますが,概略だけ説明します。
まず,地面に接地して荷重を作用させる部分(積荷板)の大きさ。
大きい方がより正確に測定できるに決まっていますが,面積が大きいほど大きな荷重を作用させなければいけませんから,できれば小さいもので試験をしたいというのが正直なところです。でもそれでは正確性が損なわれますから,設置部の大きさが定められています。
「積荷板直径は300mm以上を標準とし」とされています。
積荷するパターンは「段階式積荷」「段階式繰り返し積荷」などがあります。地盤への積荷では,荷重を作用させて瞬時に変形が決まるわけではありません。数十分かけて変形が落ち着きますのでそれまでの間の変化を測定しますし最終的にとまったところの変位も必要としますから,荷重を増していくルールと落ち着くまで待つ時間のルールが定められています。
平板積荷試験で得られる主なものは,地盤の支持特性として,
・極限支持力度 pu(kN/m2)
・地盤反力係数 Kv(kN/m3)
地盤の変形特性として,
・変形係数 ED(MN/m2)などです。
これらのデータで最も重要なのが極限支持力度でしょう。
積荷板に作用させる荷重の耐えうる最大値を面積あたりに換算したものが極限支持力度です。荷重を増やしていき急激に変位が大きくなるところが極限状態ですし,急激な変化が見られない場合は,30mm変位したところを極限状態とするようです。
平板積荷試験で得られたデータによって,その地盤の長期・短期の許容応力度を算出することができます。H13告示1113の第2の(2)式です。
(2)式(長期):qa=qt+1/3*N’γ2*Df
(2)式(短期):qa=2qt+1/3*N’γ2*Df
この式の「qt」が,平板積荷試験で得られた極限支持力度の3分の1です。
※ 告示では「極限応力度」となっています。極限支持力度と極限応力度は同じものなのかとの疑問はありますが,同じものなのだと私は思います。
<平板積荷試験の注意事項>
平板積荷試験は,実際に地盤に荷重をかけて支持力を求めるものですから,実状を正確に反映して最も信頼できる試験方法だと考えられますが,大きな落とし穴があります。
それは,「平板積荷試験で調査できる地盤の性状は,平板の直径の2倍程度の深さまでである」ことです(基礎構造設計指針より)。
標準的な平板の直径は300mmですから,測定した地盤は,深さ600mmまででしかありません。それより深いところに軟弱地盤があったとしても,データに反映されません。平板積荷試験は600mmよりも下の地盤が上の地盤と同じものであることを前提として成り立っていることを注意しておいてください。
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