<標準貫入試験を実施したところで孔内水平積荷試験をするのはいけないのか>
「孔内水平積荷試験」をする時によく議論されることに,
「標準貫入試験を実施したところで孔内水平積荷試験をするのはいけないのか」
があります。答えは,「いけないこととされている」です。根拠は,「地盤調査の方法と解説」(社団法人地盤工学会)で「試験孔の掘削に際しては,乱れの少ない孔壁に仕上げる」と記されていることです。
標準貫入試験でSPTサンプラーを打ち込んでN値を計測した部分は孔壁が乱された部分と解釈されています。したがって,答えは「不可」です。
とはいえ,標準貫入試験を実施したところで孔内水平積荷試験をすることは不可だというのは,実に不合理なことです。GL-5mのところで孔内水平積荷試験をする場合,そこでの標準貫入試験ができませんから,孔内水平積荷試験のデータである変位-圧力関係が得られた地盤のN値がないことになってしまうからです。
孔内水平積荷試験をすることの目的は,例えば,杭の水平反力の検討ですから,杭頭付近での軟弱地盤でデータをとりたいのに,孔内水平積荷試験をおこなったGL-5mのところが,たまたま密な層にあたっていたかもしれないのに,そのN値がないから,目的とした軟弱地盤だったのかどうかがわからないのです。
正確に実施しようとしたら,1mごとに標準貫入試験を実施したボーリング孔のそばにもう1本ボーリングして,N値が低かった深さで孔内水平積荷試験を実施することになります。
あとは,それ用にもう1本ボーリングしてでも孔内水平積荷試験を実施する必要があるのかということを判断しなければいけませんし,もう1本掘らない場合は孔内水平積荷試験をしたところのN値がないことが絶対的な障害なのかということを考えねばなりません。
それと,ここから先は「建築士」の関わることではありませんが,「標準貫入試験をしたところで孔内水平積荷試験をすることは,本当にいけないことなのか」というのもあると思います。上記に書きました通り,「いけないとされている」のですけど,N値が2とか3のゆるい地盤でSPTサンプラーを打ち込んだからといってどれだけ乱れるわけではないと思います。ただ,この判断は建築士がするものではなく,試験をする人もプロなのですから,その人の判断に任せるべきです。
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