<工事監理の必要知識>
建築士の仕事の分野のひとつに「工事監理」があります。工事監理は建築士法第2条で,
工事監理:その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。
と定義されていて,施工者がする工事が適正に(図面通りに)実施されていることをチェックする業務です。
まず,工事監理がなければ工事をしてはならないことは,建築基準法で規定されています。建築基準法第5条の4第4項で建築主は建築士の工事監理者をつけなければならないことを規定して,同条第5項でそれに違反する工事はできないと規定しています。
規模に応じて,一級建築士,二級建築士,木造建築士でなければならないものがあります。規模の小さいものは建築士資格を必要としませんし工事監理者をつける義務もありません。規模については,建築士法第3条第1項,同法第3条の2第1項,同法第3条の3第1項で規定しています。
<工事監理業務の内容>
工事監理で建築士は何をするのか,どういう知識が必要なのかをまとめていくのは,とても難しいことです。鉄骨造の構造体の工事監理だけで1冊の本になっているくらいです。
設計の成果である建物を作る作業ですから,まず,設計がわかっていないと工事監理はできませんし,設計に必要な知識だけではなく工事監理で特有の知識も必要とします。私が思いつくところでまとめてみると次のようなものです。
①〈工期設定・工程計画のチェック〉(作成中)
②〈施工体制のチェック〉
③〈施工計画のチェック〉(作成中)
④〈施工図のチェック〉(作成中)
⑤〈搬入された材料の品質のチェック〉(作成中)
⑥〈施工のチェック〉(作成中)
⑦〈安全管理〉(作成中)
上記は,私の経験上,工事監理に必要なものを分類してみたものです。
工事監理は,現場で施工された構造体や仕上げが図面通りにできているかどうかを確認することが目的ですから,⑥〈施工のチェック〉だけができていればそれでいいのであって,工程計画や施工体制をチェックすることまでは必要ないような気がしますが,工事監理者が四六時中施工を見ているわけではありませんから,施工体制や計画が適正であることのチェックをすることで,適正な施工がされていることの判断を補っています。
<建築士の行う工事監理の業務範囲>
建築士が行う一般的な工事監理と法的に義務付けられた工事監理とは違うとの考え方があります。
「義務のある工事監理は一般的な工事監理の一部である」との考えです。
そういうことも含めて,工事監理の業務範囲をまとめました。
工事監理の責任範囲についてはこちらです〈工事監理の責任範囲〉。
<各種工事の工事監理>
国や地方公共団体が発注する建築工事の工事監理を受託する場合があります。公共工事であるがゆえの監理内容があります〈公共工事の工事監理〉。
[cwpkouzousekkei1]
[ckanrilink]
<工事監理関係の書籍>
「工事監理ガイドライン」の解説書が平成25年9月に出ています。
「実務者のための工事監理ガイドラインの手引き」(建築技術教育普及センター)
これは販売されている書籍ですから,ネット上でタダで閲覧することはできません。
[cwpkouzousekkei2]
このページの公開年月日:2013年7月