<鋼材(炭素鋼)>
鋼材のことを一般名称としては「鉄骨」と言いますが,建築基準法上もJIS規格上も「鉄骨」という名の材料はありません。基準法上は「鉄骨造」とか「鉄骨造の建築物」という用語は使われますが,材料として使う場合は,「鉄骨」とは言わず,「鋼材」「鋳鉄」という用語が使われています。また,「鋼材」は,「炭素鋼」または「ステンレス鋼」の総称として使われています。
令第64条 鉄骨造の建築物の構造耐力上主要な部分の材料は,炭素鋼若しくはステンレス鋼(この節において「鋼材」という。)又は鋳鉄としなければならない。
注:鋼材と鋳鉄は別物です。
鉄骨造の建築物の構造材料=「鋼材(=炭素鋼+ステンレス鋼)」+「鋳鉄」
鋼材(炭素鋼)の品質について解説します。
鋼材(炭素鋼)の品質を示す言葉として最も一般的なものは,「SS400」です。それ以外にも,SM490,SN400,STKR400などの名称があります。SS400という言葉はあまりにも普及していますから,改めて「SS400とは何?」と質問すると戸惑ったりします。SS400とは,日本工業規格JISG3101で規定される一般構造用圧延鋼材の「種類の記号」のひとつです。JIS規格では,「鋼材」という規格は定められておらず,鋼材を「一般構造用圧延鋼材」「溶接構造用圧延鋼材」などいくつもの名称に分離して品質を規定しています。その中で,建築基準法第37条で指定材料として認められている鋼材(炭素鋼)のJIS規格上の品質は,次のものです。
鋼管ぐい:JISA5525
H形鋼ぐい:JISA5526
普通レール及び分岐器類用鋼材:JISE110
軽レール:JISE1103
〈一般構造用圧延鋼材〉:JISG3101
〈溶接構造用圧延鋼材〉:JISG3106
〈溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材〉:JISA3114
〈建築構造用圧延鋼材〉:JISG3136
〈建築構造用圧延棒鋼〉:JISG3138
溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯:JISG3302
塗装溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯:JISG3312
溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯:JISG3321
塗装溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯:JISG3322
〈一般構造用軽量形鋼〉:JISG3350
デッキプレート:JISG3352
〈一般構造用溶接軽量H形鋼〉:JISG3353
〈一般構造用炭素鋼鋼管〉:JISG3444
〈一般構造用角形鋼管〉:JISG3466
〈建築構造用炭素鋼管〉:JISG3475
<JIS以外の鋼材>
このページでは,JISで規定されている鋼材を解説してきましたが,近年では,JISで規定されていない鋼材が多用されるようになってきました。
その代表格が〈冷間成形角形鋼管〉です。他には「耐火鋼」や「低降伏点鋼」などあります。
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鋼構造座屈設計指針
<鋼材の解説>
鋼材のことなら「一般社団法人 日本鉄鋼連盟」の「鉄鋼製品と適用技術->建築」に,建築分野で使用する鋼材のことがわかりやすく解説してあります。
<鋼材メーカー資料>
「建設用資材ハンドブック」(新日鉄住金㈱)約15メガ
「鋼構造設計便覧」(JFEスチール㈱)
<鋼材断面と断面性能>
どの寸法の鋼材があって,その断面の断面性能がいくらであるかを解説した便利なHPがあります。
「鋼材表(by web-FUNX)」
このHPでは,許容応力度の計算もできます。
縞鋼板:鋼板の表面に凹凸をつけて滑りにくくしたものが縞鋼板です。縞鋼板を規定するJIS規格はありません。強度はSS400が準用されますが,強度は保障されていません。
鋼材の比重:一般構造用圧延鋼材の比重は,7.85とすることがJISG3101の下のJISG3192などで規定されています。
<こぼれ話>
日本で流通している鋼材はJIS規格の鋼材です。国際的に流通している鋼材はISO規格でして,断面寸法が違っています。ISOの断面寸法はJIS規格の末尾の付属書に書かれています。
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このページの公開年月日:2012年6月1日