防火区画に設ける防火設備

<防火区画に設ける防火設備>

竪穴区画や面積区画を構成する壁や床に開口部がある場合は,防火設備・特定防火設備を設置しなければいけません。このページでは防火区画に設ける防火設備・特定防火設備がどのようになっていなければいけないかを解説します。

※「防火設備」という用語全般については〈防火設備の構造方法〉で解説しています。

<防火区画に設ける防火設備に求められる性能の違い>

竪穴区画や面積区画を構成する壁や床の開口部に求められる性能は,防火設備であるか特定防火設備であるか,閉鎖機構が熱感知又は煙感知であるか煙感知であるかの違いがあります。令第112条各項の防火設備・特定防火設備で分類すると下表のようになります。

第112条の各項 遮炎性能 閉鎖機構
第1項本文(面積区画),第2項,第3項 特定防火設備 煙または熱感知(第13項第1号)
第1項第2号(竪穴区画),第8項,第12項(27条異種用途) 特定防火設備 煙感知(第13項第2号)
第5項 防火設備 煙または熱感知(第13項第1号)
第8項,第9項(竪穴区画) 防火設備 煙感知(第13項第2号)
第11項(スパンドレル) 防火設備 なし

令第112条以外の防火区画などに設けるものは下表のようになります。

区画の根拠(区画の名称) 遮炎性能(その他の条件) 閉鎖機構
法第26条(防火壁) 特定防火設備(幅及び高さが2.5m以下) 煙または熱感知(令第113条第1項第4号)
令第113条第1項(住戸界壁) (開口部を想定していない)  
令第113条第2項(学校,病院,ホテルの主要な間仕切壁) (開口部の規制なし)  
令第122条(避難階段免除の100㎡区画) 特定防火設備 なし
令第126条の2第1項第1号(病院,ホテルなどで100㎡ごとに区画されている部分の排煙免除) 防火設備 なし

上記の,「防火設備」「特定防火設備」「煙または熱感知の閉鎖機構」「煙感知の閉鎖機構」のそれぞれで規定されている条件は次の通りです。

<防火設備>

防火設備の設置を義務付けているのは,令第112条の第5項,第8項,第9項,第11項,第12項です。ここでは「法第2条第9号の2ロに規定する防火設備」と記述されていますから,ロ号の

ロ号抽出  防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。第27条第1項において同じ。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので,国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)

が適用されます。法第2条第9号の2ロで規定される防火設備の条件は,技術基準は20分の火炎を遮るものであり,具体の構造基準はH12告示第1360号に規定されたものです。これは外壁に設ける防火設備と同じですから詳しくは〈外壁の延焼の恐れある部分の防火設備〉を見てください。

<特定防火設備>

特定防火設備の設置を義務付けているのは,令第112条の第1項,第2項,第3項,第8項,第12項です。特定防火設備を規定する条文は,第1項で,

第1項抽出  特定防火設備(令第109条に規定する防火設備であって,これに通常の火災による火熱が加えられた場合に,加熱開始後1時間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして,国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。以下同じ。)

と規定されています。国土交通大臣が定めた構造方法とは,H12告示第1369号のことで,又は以降は〈個別認定〉と呼ばれるものです。

H12告示第1369号は,第1で防火戸の構造方法を規定していて,第2で隙間が生じないような構造でなければならないことを規定しています。この告示の第1で規定する構造方法は次のものです。

H12告示第1369号第1

一  骨組みを鋼製とし,両面にそれぞれ厚さが0.5mm以上の鉄板を張った防火戸とすること

二  鉄製で鉄板の厚さが1.5mm以上の防火戸又は防火ダンパーとすること

三  前2号に該当する防火設備は,周囲の部分(防火戸から内側に15cm以内の間に設けられた建具がある場合においては,その建具を含む)が不燃材料で造られた開口部に取り付けられなければならない。

四  (略)

五  (略)

六  建築基準法施行令第109条第2項に規定する防火設備とみなされる外壁,そで壁,塀その他これらに類するものにあっては,防火構造とすること

七  開口面積が100cm2以内の換気孔に設ける鉄板,モルタル板その他これらに類する材料で造られた防火覆い又は地面からの高さが1m以下の換気孔に設ける網目2mm以下の金網とすること

同告示第2

(防火戸が閉鎖した時に隙間が生じないような構造)

<閉鎖機構(煙・熱感知)>

防火設備・特定防火設備の閉鎖機構は,「煙または熱で感知して作動するもの」と「煙で感知して作動するもの」の2種類に分類されます。閉鎖機構についての基準は次の通りです。

防火区画に設ける防火設備の閉鎖機構(煙または熱感知)

防火区画に設ける防火設備の閉鎖機構(煙感知)

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このページの公開年月日:2018年1月28日