Ⅱ 構造躯体として使われる材料の特性
<②構造材料の許容応力度等>
〈①種々の構造材料の品質等〉で構造材料の品質や特性を示しましたが,構造計算をしていく中で実際に必要とされるものは,その品質や特性から作られる許容応力度等です。
許容応力度とは何か?
構造材料に作用してもいい最大の応力度のことです。構造計算では例えば地震力を設定して,その力が構造体に作用した時に生じる各部の応力が許容応力度以下であれば「安全」と判定します。許容応力度は「安全か安全でないかを判定する構造材料側の指標」です。
許容応力度には,長期と短期があります。また,似たようなものに材料強度があります。
長期許容応力度:その建物に常時作用している力に対してその材料が許容できる応力の上限
短期許容応力度:地震力のようにめったに作用しない力に対してその材料が許容できる応力の上限
材料強度:その材料が塑性化したときに発揮しうる応力度のこと。保有水平耐力を算出する時に用いる。
許容応力度等の単位は,一般にN/mm2が用いられます。
一般に,「長期許容応力度」<「短期許容応力度」≦「材料強度」です。
許容応力度等がどのように作られるのか?
コンクリートの許容応力度の作り方,鉄筋の許容応力度の作り方などそれぞれで作り方が異なりますが,構造材料には固有の「基準強度F」というものがあって,安全率で除すことで許容応力度等を作ります。「基準強度」は材料に単一のものですが,許容応力度等は,引張,圧縮,せん断などの方向に分かれます。
鋼材のSS400では,F=235N/mm2で長期許容応力度(引張)はF/1.5=156,長期(せん断)はF/1.5/√3=90,短期はその1.5倍,材料強度は短期の1.1倍となります。
鋼材では,基本は,「短期許容応力度(引張)」=「材料強度(引張)」=「基準強度」ですが,材料強度はJIS材について1.1倍できますから基準強度より大きくなります。
形によって決まる許容応力度
「素材が強ければ許容応力度が高くなる」
これが普通ですが,圧縮材の場合は,座屈してしまって素材が持つ強さを発揮できない場合があります。このことを私は「形によって決まる許容応力度」と呼んでいます。〈形によって決まる許容応力度〉で説明します。
基準強度とは何か
上記にも書きましたように,許容応力度を算出するためのその材料固有の指標です。鋼材では引張を作用させた時の降伏点強度で,コンクリートでは圧縮力を作用させた時の最大応力です,と,概略的に言えばそうなるのですが,基準強度をどういう定義で決定したかは簡単には表現できません。加えて,コンクリートでは「基準強度」とは言わずに「設計基準強度」と言います。なぜ用語が変えてあるのかは〈コンクリートの許容応力度等〉で説明しています。
それぞれの材料の許容応力度等
それぞれの材料の許容応力度等は次のとおりです。
〈あと施工アンカー1本あたりの許容耐力など(H13告示第1024号による)〉
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このページの公開年月日:2015年1月4日